米サンフランシスコ市議会は3日、米国で銃乱射事件の発生が相次ぐなか、銃所持の権利を主張する全米ライフル協会(NRA)を「国内テロ組織」と宣言する決議案を全会一致で可決した。本決議に法的拘束力はないが、NRAはこれに強く反発する声明を発表した。
『CNN』や
『USAトゥデイ』『ワシントンポスト』など多くの米メディアのほか、英
『BBC』などの海外メディアも大きく報じた。同決議案は、同州ギルロイで7月に行われた食のイベント会場で、6歳の児童を含む若い3人の犠牲者を出した銃乱射事件を受けて提出されたものであり、11人の議員から成る市議会の管理委員会が全員一致で承認した。決議には法的拘束力はないが、強い表現でNRAを非難する異例の内容となっている。
サンフランシスコ市議会の決議案は、銃による暴力により毎日100人の米国人が殺害されているとして、米国は他の高所得の国々より銃による殺人率が25倍も高いことを紹介している。その上で、米国は「銃暴力の蔓延に悩まされており、相当な資金力と組織力を利用して、銃所持を推進し、所有者に対し暴力行為を煽っている。」とNRAを批判した。
同決議案はさらに、「どの国にも暴力的で憎しみを持つ人々はいるが、彼らが殺傷用の武器や大容量の弾倉を入手できるのは米国だけであり、それは主にNRAの影響によるものだ。」と述べ、NRAと取引のある企業との関係を見直すよう市に求めた。
サンフランシスコ市議会は民主党が多数派を占める全米でも最もリベラルな都市の1つであり、同党はしばしばNRAの主張が銃乱射事件を煽っていると非難してきた。今回の決議案を起草した議員の1人である民主党のキャサリン・ステファニー議員は、「NRAは当然の報いを受ける。」と語っている。
NRAの広報担当者エミー・ハンター氏はこれに対する声明で、決議は「ばかげた行為」「価値がなく、いとわしい」として、「これは法を順守する組織とメンバー、そして彼ら全員が支持する自由に対する無謀な攻撃である。」と強く批判している。そして、サンフランシスコが直面するホームレスの増加や薬物の乱用、急増する軽犯罪といった真の問題から注意をそらすことを意図するものであると非難した。
共和党の保守的な市議会議員らも決議案を批判している。共和党は銃の個人所有を規制する大半の取り組みに反対しており、サンフランシスコで多くの規制法が成立していることに反発している。
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