トルコ政府は19日、南東部3都市の市長の職務を一時停止したほか、400人超を拘束したことを明らかにした。非合法武装組織クルド労働者党(PKK)との関係が疑われるためであるという。南東部はクルド人住民が多く、同地域で緊張が高まる可能性がある。
『ロイター通信』や
『AP通信』などの報道によると、本措置はトルコ内務省が発表した。3市長の代行には政府当局者を充てる。同国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、3月の統一地方選に先立ち、PKKとの関係が明らかになれば、当選者らに対し職務停止などの措置を取ることがあると警告した。また、スレイマン・ソイル内相も、178人の候補者がPKKとのつながりを疑われ、調査対象になっていると明かしていた。
内務省の声明によると、クルド人住民の多い南東部の主要都市、ディヤルバクル、マルディン、ヴァンの3市長は国民民主主義党(HDP)の所属で、PKKとのつながりを疑われ、テロ組織への参加や宣伝拡散など様々な罪に問われたとされる。同声明は、「調査の健全性のために、予防措置として、3市長は一時的に職務を停止された。」としている。
内務省はこれに加え、ツイッターで、警察がPKKとの関係が疑われる人物に焦点を当てた調査を実施し、29県で418人を拘束したことを発表した。また、南東部でPKKの武装勢力に対抗する大規模な作戦を開始したことも明らかにした。
HDPは、3市長が全て3月の選挙で50%超の票を獲得しており、職務停止は「虚言や違法な根拠に基づく」と主張した。また、「これは新たな明白な政治的クーデターだ。クルド人の政治的な意思に対する明らかに敵対的な動きだ。」と非難する声明を発表した。
2016年に、エルドアン大統領の強権体制に反発した軍の一部がクーデター未遂事件を起こし、その後トルコ政府は大規模な粛清に乗り出した。今回と同様の疑惑により、数十人の市長が職を解かれている。100人近くの市長らと軍人など数千人が収監され、当時米国や欧州連合(EU)諸国は強い懸念を表明することとなった。
エルドアン大統領は、HDPがトルコ、EU、米国によってテロリスト集団と指定されているPKKとつながりがあると頻繁に非難しており、HDPはそうした関係を否定している。PKKは1984年にトルコ国内で武装闘争を開始し、これまでに4万人以上の人々が闘争により死亡している。
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