4-6月期の売上高は前年同期比6%減の14億3400万ドル(1,512億円)となった。同社は生産の一部をタイに移管することでコストの削減に努めている。タイ生産により関税の一部を回避することができ、同社製品への関心が米国よりも高まっている欧州とアジアの顧客に近い場所での生産ができるようになっている。ハーレーはこれまで、世界市場に向けて米国工場から出荷していた。同社はタイで生産した製品をEUに輸出するための認可を最近取得した。...
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4-6月期の売上高は前年同期比6%減の14億3400万ドル(1,512億円)となった。同社は生産の一部をタイに移管することでコストの削減に努めている。タイ生産により関税の一部を回避することができ、同社製品への関心が米国よりも高まっている欧州とアジアの顧客に近い場所での生産ができるようになっている。ハーレーはこれまで、世界市場に向けて米国工場から出荷していた。同社はタイで生産した製品をEUに輸出するための認可を最近取得した。これにより、関税費用が削減できるとされる。しかしこの認可を得るために同社の当初計画よりも「かなり長い」期間がかかったため、利益は19%減の約1億9563万ドル(約211億円)となった。欧州市場での販売も予想よりも下振れとなった。今年度の出荷予測数を、これまで21万7千台から22万2千台の間、と予測していたが、これを、21万2千台から21万7千台の間、に下方修正した。
しかし、明るい材料もある。中国や他のアジア市場での販売は好調。米国市場での販売も再び減少したものの、下期には改善するとした。また明るい兆しとして、18-34歳の顧客層への販売が2.7%増加した。今年度の販売予測の下方修正を補う前向きな材料であり、この発表を受けて株価は5.3%上昇した。専門家は「売上高と営業利益の見通しが下方修正されたが、かなりの程度、利益は維持できるとの安心感がある」とコメントした。
これまでも報道されているように、ハーレーは米国で困難に直面している。同社の売上の50%以上が米国での売上だが、コアとなる顧客の年齢水準は上昇している。新規顧客や若い年齢層を引き付けようと各種の取り組みを進めているものの、そもそも二輪車への若者の関心が薄くなっていることもあり、同社の販売はここ数年減少を続けている。
このような人口動態上の変化の影響により、大型バイクメーカーの株価は過去5年で46%下落した。S&Pは同時期に50%上昇している。
米国市場での需要の弱さを相殺するために、マット・レバティックCEOは急速に拡大するアジアの二輪車市場に小型二輪車で参入すべく対応を進めている。2027年までに収益の50%を海外市場から獲得するという戦略の一貫でもある。最新の業績からは、この取り組みが実を結び始めていることを示している。先進国市場では個人向け二輪車販売が減少したものの、新興国市場では販売が増加した。中国とアセアン市場での販売が2桁成長となっていることが背景にある。レバティックCEOは、この2桁成長について、中国と東南アジア市場向けにタイ工場を立ち上げるという決定により達成することができた、とした。関税対策のために同社が生産拠点を海外に移すと発表した際、同社の労働組合はもちろん、米国のトランプ大統領も厳しく批判した。さらにトランプ大統領は同社製品のボイコット運動を後押しした。しかし、タイ工場立ち上げにより、米国の象徴でもある同社は地域の関税の壁を回避でき、商品価格もより競争力のある価格に設定できるようになった。この結果、直近の四半期の東南アジアの販売は77%増加した。また6月には中国で小型二輪車を生産することで合意した。中国は同社にとっての期待の大きい市場であり、2018年の中国販売は前年より27%増加していた。
さらに同社は復活を目指し、次世代のライダーを引き付ける打ち手も積極的に推進している。ハーレーが初めて販売する電動バイクはこの9月の発売が予定されている。大型車を好まない若者向けの販売を狙っている。
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