フランスのフロランス・パルリ国防相は22日、1968年に消息を絶った同国の潜水艦ミネルブが地中海の海底で発見されたことを発表した。同艦は当時悪天候の中で訓練を行い、本拠地である南仏の軍港に戻る間に乗員52人とともに行方不明となった。
『AFP通信』や英
『ガーディアン』、米
『CNN』などが報じた。フランスの潜水艦ミネルブ(Minerve)は、1968年1月27日の朝、52人の乗員を乗せたまま、フランス南岸にある同艦の本拠地トゥーロン軍港の沖合で消息を絶った。事故の原因は発表されていないが、専門家らは、舵の問題や、他の船舶との衝突、ミサイルや魚雷の爆発、酸素供給システムの不具合などにより惨事となった可能性があると指摘している。これまで同艦の捜索が何度か行われたが、いずれも失敗していた。
フランス海軍は、トゥーロンで記者団に対し、潜水艦ミネルブの残骸を21日に発見し、その位置はトゥーロンの約45キロ沖合で、1968年に捜索されていた場所から約20キロ南にあり、水深は2,370メートルの地点であると説明した。
最終的に同艦の場所を突き止めたのは、フランス海軍を支援した米海洋探査企業のオーシャン・インフィニティーが所有する捜索船シーベッド・コンストラクターで、同船は高性能のカメラを搭載した水中ドローンなどを装備し、16日に現場に到着していたという。
パルリ仏国防相は今年初め、乗員の遺族からの再度の要請を受け、海軍の艦船と海洋専門家の知識や技術力を駆使した新たな捜索活動の実施を宣言していた。捜索チームは、最先端の海洋探査技術を用いて地中海西部での潮流を調査し、海底に沈んだ同艦がおそらく内側へと破壊したことを示す当時の地震波データなども再度解析し、位置を特定した。
パルリ国防相はツイッターに、「成功であり、安堵した。技術的な偉業だ。」と投稿し、「この瞬間を非常に長く待ち望んでいた」遺族への思いをつづった。ミネルブが消息を絶った原因は明らかになっていないものの、発見は遺族らに喜びと安堵をもたらした。
国防相は、「フランス海軍と全ての国民を襲った悲劇の後、50年以上を経て、この発見が追悼の一助となることを心から願っている。」と述べ、死亡した52人の乗員の遺族のために海上で追悼式を行うよう求めている。フランス海軍の伝統として、沈没した船舶の残骸は、聖域としてそのまま手を付けずに残すため、同艦も乗員らが最終的に安眠する地として今の場所にとどめておくこととしている。
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