国内東部で親ロシア分離主義勢力との内戦が続くウクライナの大統領選挙(注後記)で、反ロシアを標榜した現職大統領が、ロシアとの協議を訴えた新人候補に敗れた。そこで、ウラジーミル・プーチン大統領としては、ファーストネームが同じ新大統領に親近感を覚えたのか、はたまた政治未経験の元コメディ俳優の大統領など与しやすいと楽観したのか、ウクライナは同胞だとして、将来的にロシアとの統一をも示唆するほど満足していたと報じられた。
7月20日付
『タイム』誌(
『AP通信』配信):「プーチン大統領、ロシアとウクライナは“同胞”と発言」
ウラジーミル・プーチン大統領は6月19日、米映画監督オリバー・ストーン氏によるインタビューに答えて、ロシアとウクライナは同じ国民だと感じられ、将来的に統一できる道を模索したいと発言した。
ストーン氏は、ウクライナに関わる報道番組を撮っていて、その一環で同大統領にインタビューしたもの。...
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7月20日付
『タイム』誌(
『AP通信』配信):「プーチン大統領、ロシアとウクライナは“同胞”と発言」
ウラジーミル・プーチン大統領は6月19日、米映画監督オリバー・ストーン氏によるインタビューに答えて、ロシアとウクライナは同じ国民だと感じられ、将来的に統一できる道を模索したいと発言した。
ストーン氏は、ウクライナに関わる報道番組を撮っていて、その一環で同大統領にインタビューしたもの。
そしてロシア大統領府が7月19日、インタビュー詳細について披露したものである。
なお、同大統領は、ウクライナの中核がロシア傘下となった以上(編注;クリミア半島ロシア併合の意)、これを機会にウクライナがロシアと一つの国になることが考えられる、と言及している。
一方、同日付『ニューヨーク・ポスト』紙:「オリバー・ストーン氏、ウラジーミル・プーチン大統領に自身の息女の洗礼親になるよう依頼」
アカデミー監督賞を二度も受賞しているストーン氏は、6月19日にプーチン大統領にインタビューした際、同大統領に対して同氏の22歳の息女の洗礼親になるよう頼んでいたことが判った。
7月19日にロシア大統領府がリリースしたインタビュー概要報告で判明したもので、同大統領は、ストーン氏の息女がギリシャ正教徒(ロシア正教含む)になるのかと尋ね、同氏はそれを肯定したという。
なお、同氏のインタビューの中で、プーチン大統領はウクライナの件にも触れて、やがてロシアとウクライナが統一の道を歩むことを望むとコメントしたとする。
(注)ウクライナ大統領選挙:2019年4月下旬に行われた、最終候補者2人による決選投票の結果、現職のペトロ・ポロシェンコ氏を元コメディ俳優のウラジーミル・ゼレンスキー氏が大差で破った。ポロシェンコ氏は、欧州連合(EU)及び北大西洋条約機構(NATO)加盟を標榜し、ロシアと対峙する姿勢を打ち出していたが、特権階級による利権独占や汚職蔓延などに嫌気がさした国民が、反汚職・税金浪費削減等を公約に掲げたゼレンスキー氏を選択したもの。なお、ゼレンスキー氏は、2015年の「国民のしもべ」というテレビドラマでの大統領役で一躍脚光を浴びたコメディ俳優であるが、政治経験はない。
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