ドイツ連邦統計庁は16日、同国の昨年の人口が過去最高の8300万人超となったと発表した。東欧諸国などからの移民の流入が増加の主な原因としている。日本などでは人口の減少が続いているが、ドイツでは積極的な受け入れ政策を取ってきた移民が人口を押し上げ、国の経済を支えていることが明らかとなった。
『ロイター通信』のほか、ロシアやブルガリアなどのメディアが報じた。ドイツ連邦統計庁によれば、東欧を中心とした諸国からの移民により、2018年の同国の人口は過去最高を記録した。但し、昨年の移民の純流入数は、前年の41万6,000人から約40万人へと若干減少している。また、ドイツ人の移民数もやや増加した。2018年には前年の24万9,000人を上回る26万2,000人が国外に流出し、母国に戻った人は20万2,000人だった。...
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『ロイター通信』のほか、ロシアやブルガリアなどのメディアが報じた。ドイツ連邦統計庁によれば、東欧を中心とした諸国からの移民により、2018年の同国の人口は過去最高を記録した。但し、昨年の移民の純流入数は、前年の41万6,000人から約40万人へと若干減少している。また、ドイツ人の移民数もやや増加した。2018年には前年の24万9,000人を上回る26万2,000人が国外に流出し、母国に戻った人は20万2,000人だった。
ドイツに流入した移民の出身国は、欧州連合(EU)域内の国々がこれまで通り最も多く、合計20万2,000人と約半数を占めた。このうち最も多かったのはルーマニア出身者の6万8,000人、次がクロアチアの2万9,000人で、ブルガリアの2万7,000人、ポーランドの2万人と東欧諸国が続いた。
クロアチアは2013年にEUに加盟したが、加盟後の経済状況の進展が遅いとして不満を持つ多くの労働人口が大量に国外に流出しており、これら東欧諸国の中で最も問題が顕在化しているという。
一方、これまで多かった、戦争で荒廃した国からの移民は減少している。シリアからの移民の純流入数は、2018年には3万4,000人と前年の6万人から半数近くに減少し、アフリカ諸国からの移民も2018年には3万4,000人で、前年から1,000人ほど減った。
欧州最大の経済大国であるドイツでは、雇用情勢が記録的に好調で、失業率は低下しており、労働市場は逼迫している。100万人分を超える求職があるが、雇用主らは人材の採用に苦労しており、こうした状況が全体の経済成長の足かせとなっている。
ドイツの労働人口は、少子高齢化によって、今後数十年にわたり縮小していくと見込まれることから、企業が労働力を確保するために移民の存在が不可欠と考えられている。また、移民の年金への貢献が、増加する定年退職者を支えていくことにもなるという。ドイツは来年、EU域外の国からの移民に対し、さらに労働市場を解放する見通しだ。
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