オーストラリアの有名観光地であり、日本人にも人気の高い巨大な一枚岩「ウルル」で、先住民の聖地保護のために今年10月から登山が禁止されることにより、駆け込み需要で多くの観光客が殺到し、大きな問題が生じていることが明らかになった。
『AFP通信』や英
『ガーディアン』などのメディアは14日までに、登山禁止を控えたウルルには、その伝統的な所有者である先住民の意向に反し、悪影響が出るほどにまで大量の観光客が流入していると、旅行業者らが先週12日に明かしたと報じている。
ウルルはオーストラリアのほぼ中央に位置し、ウルル=カタ・ジュタ国立公園内にある巨大な赤い一枚岩だ。英探検家が名付けた名「エアーズロック」の名前でも広く知られており、1987年にユネスコの世界遺産に登録された。...
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『AFP通信』や英
『ガーディアン』などのメディアは14日までに、登山禁止を控えたウルルには、その伝統的な所有者である先住民の意向に反し、悪影響が出るほどにまで大量の観光客が流入していると、旅行業者らが先週12日に明かしたと報じている。
ウルルはオーストラリアのほぼ中央に位置し、ウルル=カタ・ジュタ国立公園内にある巨大な赤い一枚岩だ。英探検家が名付けた名「エアーズロック」の名前でも広く知られており、1987年にユネスコの世界遺産に登録された。先住民アボリジニのアナング族が、聖地として所有する山であり、これまでの登山で多くの死傷者が出ていることに責任を感じるとの彼らの意思も尊重し、10月26日から登山が禁止されることになった。
非営利団体であるツーリズム・セントラルオーストラリア(中央豪州観光協会)のスティーブン・シュワー代表によると、現在ウルルに殺到して特に問題となっているのは、キャンピングカーやRVに乗って訪れる家族連れの観光客であるという。
シュワー氏は、「車で訪れる多くの観光客を扱うだけの十分なインフラがない。」と述べた。大半の来訪者が適切な行動を取っているが、同地のキャンプ場は事前予約だけで満員となってしまうため、事前の計画が不十分な結果、違法に滞在する観光客も多いのだという。「人々は道を外れれば、実際に牧草地やアボリジニの土地、保護された土地に不法侵入していることに気付かない。ゴミを捨てる人や火を焚く人、実際は私有地だが、人が住んでいない土地だと思い、車内の排泄物を捨てる人もいる。」と同氏は指摘した。
国立公園の管理機関パークス・オーストラリアによれば、2019年6月までの一年間にウルル=カタ・ジュタ国立公園を訪れた観光客数は、前年比20%増の39万5,000人超に上った。しかし、ウルルに登山する人は大きく減少しており、そのうちの13%にとどまる。旅行業者は登山を希望する観光客の多くが、オーストラリア人と日本人だと話している。
先住民にとって同地は数万年前から精神的・文化的意義の深い場所だった。パークス・オーストラリアは、1985年にウルル、カタ・ジュタが伝統的な所有者に返還されて以降、観光客はアナング族やその文化を理解し尊敬するよう求められていると説明している。
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