これらの公聴会は、巨大テクノロジー企業と議会の間で続く、せめぎあいを象徴しており、このうちのひとつは、早速、次期米国大統領選挙の争点に浮上した。問題は、世界最大で最も力のある企業へと成長したこれらのテクノロジー企業を、政府がどのように規制するのかということだ。アマゾンとアップルはともに1兆米ドル(約108兆円)の企業価値があり、グーグル、フェイスブックは購読者数がともに数十億人に達している。
些細なシリコンバレーの会社が、ひとりの天才の手によって、あっという間に数十億ドルの価値がある会社へと変身する姿は、まさにアメリカンドリームを体現したきた。...
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これらの公聴会は、巨大テクノロジー企業と議会の間で続く、せめぎあいを象徴しており、このうちのひとつは、早速、次期米国大統領選挙の争点に浮上した。問題は、世界最大で最も力のある企業へと成長したこれらのテクノロジー企業を、政府がどのように規制するのかということだ。アマゾンとアップルはともに1兆米ドル(約108兆円)の企業価値があり、グーグル、フェイスブックは購読者数がともに数十億人に達している。
些細なシリコンバレーの会社が、ひとりの天才の手によって、あっという間に数十億ドルの価値がある会社へと変身する姿は、まさにアメリカンドリームを体現したきた。しかし、ここ数年はスキャンダルや企業の不法行為が取り沙汰されてきた。
フェイスブックとグーグルは、プライバシー、言論の自由そして選挙への介入問題と取り組んできた。その間、アマゾンとアップルは、巨大企業となり、市場支配力が強すぎるとして、分割が必要だとする議員がでてきている。
規制当局はすでに、これらの企業に罰金を科し始めている。EUは昨年、グーグルに対し50億米ドル(約5400億円)の罰金を科しており、米国連邦取引委員会も今年、フェイスブックに対し50億米ドル(約5400億円)の罰金を科すと見られている。
しかし、これだけでは、多くの政治家を十分納得させることはできない。
ソーシャルメディアで政治に強烈な影響を与えたドナルド・トランプ大統領は、テクノロジー企業の最も声高な批判者となっている。「これらに技術は大変強力で重要だ。だから、これらは公平に使用されなければならない」という。
そして、フェイスブックのリブラ暗号資産が登場し、議員を新たな問題で悩ませている。トランプ大統領はすでに、リブラとビットコインを「きわめて不安定で、薄い空気に基礎を置いているようなものだ」と呼んだ。
これらのスキャンダルや圧力があるなかで問題なのは、今後の方向性について、議員の合意がとれていないことだ。
「いま、これらの巨大テクノロジー企業は、我々の経済、社会そして民主主義に対して、あまりにも影響力を持ちすぎている」とマサチューセッツ州選出で、民主党の大統領候補のひとりエリザベス・ウォーレン上院議員は述べた。
「ほとんどどのような尺度からも、これらの巨大テクノロジー企業は、スタンダード・オイル社やAT&T社が分割されたときよりも、巨大で支配力がある」とテキサス州選出の共和党テッド・クルーズ議員は4月の公聴会で述べた。
今週の公聴会は、これらの巨大テクノロジー企業の独占的だと捉えられている企業活動に触れるため、厳しいやり取りが交わされると見られる。
また、フェイスブックのリブラについては上院銀行委員会で公聴会が開かれるが、下院金融委員会のメンバーは、すでにフェイスブックに対し、2020年中に行う予定の計画の一時中止を要請している。
金融委員会のマクシーン・ウォーターズ議長は、委員会は暗号資産が世界市場に与える影響を調査したいと述べた。
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