オーストラリア政府は10日、先住民族を憲法で承認するか否かを問う国民投票を3年以内に実施することを発表した。同国は憲法で先住民族を認めておらず、このことが数十年間にわたり、しばしば激しい議論を呼び起こす問題となってきた。
『ロイター通信』や英
『BBC』、米
『CNN』などが報じた。オーストラリアの先住民らは、1788年に入植を開始した英国人よりも5万年以上も前に同大陸に渡来し、同国政府は、こうした民族のアボリジニやトレス海峡諸島民との和解に苦慮してきた。
しかしながら、この問題の解決に向けて国民の支持は高まっており、アボリジニとして同国初の閣僚となったケン・ワイアット先住民問題相は10日、2022年までに、先住民族を憲法上承認するか否かを問う国民投票を実施することを約束した。...
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『ロイター通信』や英
『BBC』、米
『CNN』などが報じた。オーストラリアの先住民らは、1788年に入植を開始した英国人よりも5万年以上も前に同大陸に渡来し、同国政府は、こうした民族のアボリジニやトレス海峡諸島民との和解に苦慮してきた。
しかしながら、この問題の解決に向けて国民の支持は高まっており、アボリジニとして同国初の閣僚となったケン・ワイアット先住民問題相は10日、2022年までに、先住民族を憲法上承認するか否かを問う国民投票を実施することを約束した。ワイアット氏は首都キャンベラで演説し、「現在の議会の会期中に、国民投票で問うべき憲法上の承認の方法について、超党派で合意が可能な選択肢を検討し、明らかにする。」と説明した。
ワイアット先住民問題相は、2022年までに国民投票を実施するために、政府と先住民の指導者らとの間の合意を促進する必要がある。先住民の人々は、自分たちの意見がさらに政治に反映されることを求めている。
先住民の指導者ら250人は2017年、ウルル(エアーズロック)に集まり、自分たちの憲法上の承認を求めるとともに、その声が議会に届くよう、憲法に明記された諮問機関の設置を求めたが、政府は議会内に事実上の第三院ができるとの理由でこれを拒否し、その後の議論は進んでいなかった。
その後、国内の一部大手企業などからは、先住民族の実質的な承認が、国民の間の分断を修復する唯一の方法であるとして圧力がかけられており、政府は再び対応を迫られている。ワイアット氏は、先住民の指導者らの先の提案を見直し、実施したい考えだ。
オーストラリアの人口約2300万人のうち、先住民は約70万人ほどであるが、1960年代半ばまでは選挙権もなく、他のオーストラリア人に比べて平均寿命も10年ほど短く、社会・経済上のほぼ全ての指標で最下層に位置付けられていた。自殺者やアルコール依存者、家庭内暴力の発生などの割合は、人口対比で相当程度高く、刑務所の収監者の27%は先住民らが占めているという。
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