今週のテレビの話題の一つに、サクラ開花宣言がある。
東京の場合、靖国神社境内の基準木の花びらの数で“開花宣言”をするかどうか、多くのテレビ局担当者が来訪し、気象庁担当者の一挙手一投足に注目して、状況を公共の電波に乗せて流していた。
かかる一斉ニュースに触れると、日本は本当に平和であることを実感する。
しかし、一方で、国連の調査結果として昨日公表された「世界の国や地域の幸福度ランキング2019」で、日本は前年比▼4下げて58位と、主要7ヵ国(G-7)のみならず、台湾・韓国よりも下位に沈んだという。...
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今週のテレビの話題の一つに、サクラ開花宣言がある。
東京の場合、靖国神社境内の基準木の花びらの数で“開花宣言”をするかどうか、多くのテレビ局担当者が来訪し、気象庁担当者の一挙手一投足に注目して、状況を公共の電波に乗せて流していた。
かかる一斉ニュースに触れると、日本は本当に平和であることを実感する。
しかし、一方で、国連の調査結果として昨日公表された「世界の国や地域の幸福度ランキング2019」で、日本は前年比▼4下げて58位と、主要7ヵ国(G-7)のみならず、台湾・韓国よりも下位に沈んだという。
一体、このギャップは、マス・メディアと一般大衆との意識度の違いから来るのであろうか。
ただ、海外から見た日本と言えば、特にサクラと花見について、次のように一様に羨望の目でみていることがみてとれる。
①無料でどこでもサクラの花見が楽しめること
日本中、どこに行っても、サクラの名所があり、昼間のみならず、夜間もライトアップされて、幻想的な花見が楽しめることは、特に途上国や、国内情勢が不安定な人たちからみれば、自国ではとても想像できないことと言える。
②酒を嗜みながら花見ができること
イスラム圏の人たちだけでなく、欧米諸国の人たちからみても、酒を嗜みながら花見ができるのは、非常に羨ましい習慣(認められた自由な権利)だと断言している。
筆者が駐在経験のある米・カナダ・豪州では、公園等屋外での飲酒は禁止されており、満開のサクラの下での宴会など、自国ではとても許されないことだからである。
駐在当時、筆者の知り合いは、例えば野外ピクニックに行った際、厚手の紙袋(茶系の濃い色)の中に“ビン”あるいは“缶”を潜ませ、ドリンクを楽しんでいた-見つかれば罰せられることながら、彼らは“ブラウン・バッグ・ドリンク”と隠語で呼んでいたと記憶する。
③治安の良さで、老若男女が分け隔てなく花見が楽しめること
どこの名所でも、また、名もない河川敷や公園でも、満開のサクラは、一般大衆が自由に、好きな時間に花見ができることも、ささやかながら幸せな象徴だとしている。
また、同時に日本人が尊敬できる点として、花見の後のゴミの撤去(持ち帰りはもとより、決められた場所への投棄等)がきちんとできていることが挙げられる。
2018年のロシアでのワールドカップ・サッカー試合後の、日本のサポーターたちの振る舞い-試合の勝ち負けに拘らず、観客席を掃除してから退出-が世界中に報道されているが、日本の花見会場でも、同様なシーンに何度もお目にかかれると、訪日外国人のブログや報道番組のコメントに表されている。
従って、かかるささやかながら誇れる習慣・民度については、“悪貨は良貨を駆逐する(グレシャムの法則:注後記)”が決して当てはまらないよう、いつまでも続いて欲しいと願うばかりである。
(注)グレシャムの法則:16世紀の英国の財政家トーマス・グレシャムが提唱した経済法則。金本位制の経済学の法則のひとつで、貨幣の額面価値と実質価値に乖離が生じた場合、より実質価値の高い貨幣が流通過程から駆逐され、より実質価値の低い貨幣が流通するというもの。
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