北京大学の研究者らのグループが、19日付の医学誌「ランセット糖尿病・内分泌学」に公表した研究結果によると、中国の子どもの5人に1人が太り過ぎか肥満と判定され、この割合は過去20年間で4倍に増えていることが判明した。
『CNN』や科学紙などが同研究結果について報じている。これによると、中国では、過去20年間の急速な経済成長により、子どもたちの発育阻害とやせ過ぎの割合は減少したものの、一方で太り過ぎや肥満の子どもの割合が4倍に増加したという。
中国の経済は近年急成長し、同国は世界第2位の経済大国となった。今回の研究は、経済成長が国民の栄養状態にもたらす効果について、太り過ぎや肥満の増加、都市化の進展状況による地域差など、栄養不足以外の側面にも焦点を当てた初めてのものである。...
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『CNN』や科学紙などが同研究結果について報じている。これによると、中国では、過去20年間の急速な経済成長により、子どもたちの発育阻害とやせ過ぎの割合は減少したものの、一方で太り過ぎや肥満の子どもの割合が4倍に増加したという。
中国の経済は近年急成長し、同国は世界第2位の経済大国となった。今回の研究は、経済成長が国民の栄養状態にもたらす効果について、太り過ぎや肥満の増加、都市化の進展状況による地域差など、栄養不足以外の側面にも焦点を当てた初めてのものである。
研究者グループは、7~18歳の100万人以上の中国の青少年を対象とした1995~2014年のデータを分析した。長期にわたる不十分な栄養摂取や感染症による発育阻害の有病率は、1995年の8.1%から2014年の2.4%に減少し、やせ過ぎも同7.5%から4.1%に減少した。しかし、太り過ぎや肥満と判定される子どもの割合は、同5.3%から20.5%へと大幅に増えた。
中国では国民所得が増加し、食事にかける支出が増えるとともに、都市化の進行によって、より良い医療や教育を受けることが可能となった。しかし同時に、中国の子どもたちはファーストフードなどの高カロリーな食事を取る機会も多くなり、外で遊ばず家でパソコンやテレビの前で長時間過ごすなどして、以前のように体を動かさなくなっている。
中国では祖父母と同居する子どもも多い。両親が共働きの世帯では、子どもが何を食べるかは祖父母が決めることになる。食糧不足の時代を経験した高齢者世代は特に、太っていることは良いことと考える人が多く、子どもたちに食事を与え過ぎるとの指摘もある。
子どもの肥満は世界中で増加しており、世界保健機関(WHO)は「21世紀の最も深刻な公衆衛生上の課題の1つ」としている。中国の大人の現在の肥満率は、世界でもかなり低い方であるが、子どもの肥満傾向が継続すれば確実に増加し、様々な病気のリスクが増すことになる。研究グループは、糖分や脂肪分の含有量が多い食品や飲料への課税、食事の多様性を促進するための助成金、運動や健康に関する教育を推進するための戦略の立案など、政府が早急に強力な措置を取るよう提案している。
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