米シアトルに本拠を置くアレン人工知能研究所は13日、人工知能(AI)に関する中国の学術論文の発表や引用数が急増して、その研究の影響力が増大しており、米国はまもなくAI分野で中国に追い抜かれるとの分析結果を発表した。
『AFP通信』の他、中国の人民日報系列の
『グローバルタイムズ』、香港の
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』などが報じたアレン人口知能研究所の分析結果は、2018年までに発表された約200万のAIに関する論文の研究データに基づいている。
中国は2006年以降、発表されたAIに関する論文数においては、米国を上回り世界で首位に立っている。また2014年以降、AI分野の特許申請数でもトップだ。しかし、論文については質の面で、その多くが「中」または「低」と評価されている。
しかし同研究所は、中国は今年、最も引用された論文の上位50%に入る論文数で米国を上回り、来年には上位10%、2025年までには上位1%以内でも米国を凌ぐことになるとして、今後の急速な質の向上を予測している。また、引用数は論文の影響力が時間を置いて表れる「遅行指標」であり、中国のAI研究の影響力増大を過少評価している可能性があるとした。
同研究所の分析は、自動運転車、仮想現実(VR)、第5世代(5G)移動通信網などの主要技術の分野で、中国が米国に先行しているとの米政府や米IT企業の懸念が、非現実的なものでないことを改めて示した。
同研究所によれば、中国政府は2017年、AI分野で2030年までに世界で首位に立つとの計画を発表したが、10年以上も前から同分野への投資を急増させていたという。一方、米国は現在、移民の入国を厳格化する措置を取っており、AI分野で首位を維持することは困難になるとして、「最近の米国の政策は、外国人の留学生や研究者の採用や維持に障害となり、AI研究において中国が支配権を握る傾向を悪化させそうだ。」と指摘した。
米国のシンクタンクや研究者らは、最近政府に対し、AIに関する国家戦略を策定し、官民両部門でのAI技術に関する研究開発などの業務をさらに推進するよう求めた。先月トランプ大統領は、米国のリーダーシップを維持するために、連邦政府の資源を最大限に投入し、AIの技術革新を促進させるよう命じる大統領令に署名した。しかし、アナリストらは、包括的な戦略になっていないとして批判している。
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