日本の交通事故死亡者数は、取締り強化や安全対策等が奏功して1992年から減少し始め、2018年では
3,532人と、史上最悪の死者数を記録した1970年の1万6,765人より▼1万3,233人(▼79%)大幅減少し、史上最少を更新した。
上記の数値は、人口10万人当りの死者数は2.8人、車1万台当りでは0.45人と先進国の中にあって極めて低い数値となっている。...
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日本の交通事故死亡者数は、取締り強化や安全対策等が奏功して1992年から減少し始め、2018年では
3,532人と、史上最悪の死者数を記録した1970年の1万6,765人より▼1万3,233人(▼79%)大幅減少し、史上最少を更新した。
上記の数値は、人口10万人当りの死者数は2.8人、車1万台当りでは0.45人と先進国の中にあって極めて低い数値となっている。
(主要先進国の実数:2016年データ)①合計死者数、②人口10万人当り死者数、③車1万台当り死者数
・米国: ①3万5,092人、②10.9人、③1.29人
・韓国: ① 4,621人、② 9.1人、③1.95人
・フランス:① 3,461人、② 5.4人、③0.83人
・ドイツ: ① 3,459人、② 4.3人、③0.64人
・英国: ① 1,804人、② 2.8人、③0.48人
しかし、国土交通省のデータによると、歩行中及び自転車乗車中の死者数は人口10万人当り2.0人と、他先進国と比較してワースト・レベルだという。
実際問題、史上最少となった2018年の死者数について、首都圏の数値をみてみると、次のように軒並みワースト10に入っている。
①愛知:189人、②千葉:186人、③埼玉:175人、④神奈川:162人、⑤兵庫:152人、⑥東京:143人
もちろん、首都圏には人口も自動車も集中していることから、止むを得ないと言えなくもないが、次のデータをみてみると、“歩行中及び自転車乗車中の死者数の多さ”の原因の一つと考えられる。
すなわち、昨年に日本自動車連盟(JAF)が発表した「信号機のない横断歩道における車の一時停止率/2018年調査(注後記)」によると、一時停止義務を怠る車両が、日本全体もさることながら、首都圏でもすこぶる低調という結果となっている。
・全国平均:8.6%、・東京:2.1%、・埼玉:7.8%、・千葉:11.9%、・神奈川:14.4%
欧米先進国では、横断歩道に歩行者が立っていた場合、自動車が一時停止することが当たり前となっていることから、訪日外国人にとって、安全・安心な日本であるにも拘らず、信号のない横断歩道を渡るに当って、日本はとても危険な国だと感じることにならざるをえない。
来年の東京オリンピック、パラリンピック開催時含めて、訪日外国人の数が飛躍的に増加することから、特に首都圏において、交通安全事情を来訪者によく理解してもらう必要があろう。
すなわち、運転者に一時停止義務を徹底するには時間がかかろうから、短期即効策としては、訪日外国人自身に注意喚起することで、事故を未然に防ぐよう努める他あるまいと思われる。
(注)調査方法:信号機のない交差点を各都道府県で2ヵ所選出し、1ヵ所につき50回、JAF職員が平日の日中に横断し、通過する車両が一時停止するかどうかを調査したもの。
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