中国は、昨年の第4四半期(10~12月期)の経済成長率が6.4%と、およそ28年振りの低成長に見舞われている。昨年夏から本格化した米中貿易紛争も要因の一つと考えられる。一方、石油輸出国機構(OPEC)の盟主的存在であるサウジアラビアも、昨年10月に発生した同国ジャーナリストのジャマル・カショギ氏暗殺にムハンマド・ビン=サルマーン皇太子が関与したとの嫌疑がかけられたことから、国際社会から非難を浴び、同国主要産業であるエネルギー輸出にも悪影響が出かねない状況である。そのサウジアラビアが、形勢逆転をかけて、同皇太子を団長とするアジア歴訪ミッションを送り出したことから、中東での発言力強化を狙っていた中国としてしても渡りに船と、両国の一大経済協力をぶち上げている。
2月22日付
『ロイター通信』:「中国、サウジアラビア皇太子一行を迎えて、同国に“巨大な経済発展を遂げる可能性”を期待」
中国の王毅(ワン・イー)外交部長(外相に相当)は2月21日晩、サウジアラビアは
“巨大な経済発展を遂げる可能性”を有する国であり、同国と最先端技術等での協力を望んでいると表明した。
同日、サウジアラビアのムハンマド・ビン=サルマーン皇太子一行が北京に到着し、2日間にわたり中国と経済連携を含めた協議を行うことになっている。...
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2月22日付
『ロイター通信』:「中国、サウジアラビア皇太子一行を迎えて、同国に“巨大な経済発展を遂げる可能性”を期待」
中国の王毅(ワン・イー)外交部長(外相に相当)は2月21日晩、サウジアラビアは
“巨大な経済発展を遂げる可能性”を有する国であり、同国と最先端技術等での協力を望んでいると表明した。
同日、サウジアラビアのムハンマド・ビン=サルマーン皇太子一行が北京に到着し、2日間にわたり中国と経済連携を含めた協議を行うことになっている。
同皇太子一行は、直前に訪問したパキスタンで200億ドル(約2兆2千億円)の投資を決め、また、インドに対しても石油産業への追加投資の話を前向きに進めている。
同一行には、アラムコ(原油輸出量が世界最大のサウジアラビア国有企業)幹部も加わっており、この度、中国北東部の遼寧省(リャオニン)に石油精製及び石油化学製品製造工場を建設する合弁事業契約を、軍事製品メーカーの中国兵器工業集団と交わす予定である。
この合弁事業が奏功すれば、中国向け原油輸出事業で直近3年間ロシアに奪われていたトップの地位を奪い返すことが可能となる。
習近平(シー・チンピン)国家主席は、ムハンマド皇太子と会談して、これまで存在感の薄かった(米同盟国の)サウジアラビアとの関係強化を図りたい意向とみられる。
しかし、同国家主席は2月20日、サウジアラビアの宿敵であるイランの議会議長に対して、今後もイランとの連携発展の意思があると伝えている。
更に中国は、西端の新疆ウィグル自治区で繰り広げるイスラム教徒弾圧行為に対して、中東イスラム国から非難を浴び続けている。
ただ、中国国営メディア『人民日報』傘下の『環球時報』は2月22日の社説で、中国は中東に敵はおらず、同地域の如何なる国とも協力体制が取れると強調している。
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