ドナルド・トランプ大統領は、唯一の岩盤支持層である白人ブルーカラー層を繋ぎ止めるため、公約に掲げたメキシコ国境の壁建設に拘り、米連邦暫定予算の失効によって一部の連邦政府機関が閉鎖されようとお構いなしである。それは、ロバート・マラー特別検察官や下院多数派の民主党が率いる複数の委員会によるロシア疑惑等の本格的調査が迫る中、あたかも国民の目をそらさせると勘繰られる程である。ただ、焦れば焦る程墓穴を掘るのが人の常のようで、同大統領は側近に十分相談もせずに、これまで味方につけていたメディアへの単独インタビューに応じて、反ってロシア側と非公式な関係を続けてきたのではとの疑念を強める結果を招いてしまっている。
1月14日付
『ザ・ウィーク』誌:「トランプ大統領側近、ロシア側代理人だったのかとの
『Foxニュース』の質問に同大統領が明確に否定しなかったことを憂慮」
『AP通信』は1月14日、ドナルド・トランプ大統領はこの週末、『ワシントン・ポスト』紙及び『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたロシア疑惑に関わる報道のみならず、一時的な連邦政府機関閉鎖となっていることへの責任追及の声に接し、ホワイトハウスで悶々としていた、と報じた。
更に、同メディアによると、同大統領が1月12日夜の『Foxニュース』の番組に突然電話で参加し、ロシア疑惑問題に関し、反って信頼性を毀損してしまった可能性があるとして、同大統領側近が憂慮しているという。
すなわち、『ワシントン・ポスト』紙が、同大統領がウラジーミル・プーチン大統領との会談内容について側近トップにも長い間秘密にしていたと報じ、また、『ニューヨーク・タイムズ』紙が、トランプ氏自身がロシア側に弱みを握られている疑いがあることから、連邦捜査局(FBI)が同氏の大統領就任以来防諜捜査に着手していたと報じていた。
これらの記事に我慢がならず、同大統領は側近に直前に伝えただけで、同大統領支持派とされる『Foxニュース』の報道番組の電話インタビューに突然応じた次第である。
しかし、キャスターのジャニン・パイロ氏が、同大統領に対して、記事中にあるとおり同氏がロシア側代理人だったのかと質問したのに対して、同大統領は、最悪の侮辱記事だと答えたのみであった。
そこで、『AP通信』によると、ホワイトハウスの側近及び共和党議員の計3名は、同大統領がロシア側代理人ではないと全面否定する発言をしなかったことで、反って疑念を強めてしまったのではないかと憂慮しているとする。
なお、1月13日付の『ワシントン・ポスト』でコラムニストのマックス・ブート氏は、18の事例を挙げて、トランプ氏がロシア側代理人であった疑いがあるとの批評を掲載している。
また、ビル・クリントン政権下での国務省副長官かつロシア問題専門家で、現在は『ポリティコ』政治ニュースのコラムニストであるストローブ・タルボット氏も、トランプ大統領は明らかに、敵国ロシアと結託する行動を取ってきているとして、その具体例を列挙している。
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