12月24日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「米国防長官辞任のニュースに中国に抵抗してきたアジア諸国は動揺」
ジェームス・マティス米国防長官は、今年だけでも二度ベトナムを訪問し、特に10月訪問時には、中国との南シナ海における領有権問題で同国を支援すると表明した。
同長官は、翌月にはフィリピンを訪問し、六十有余年に及ぶ米国・フィリピン軍事協定に則って、同国が中国に抵抗する際の後ろ盾になると強調していた。...
全部読む
12月24日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「米国防長官辞任のニュースに中国に抵抗してきたアジア諸国は動揺」
ジェームス・マティス米国防長官は、今年だけでも二度ベトナムを訪問し、特に10月訪問時には、中国との南シナ海における領有権問題で同国を支援すると表明した。
同長官は、翌月にはフィリピンを訪問し、六十有余年に及ぶ米国・フィリピン軍事協定に則って、同国が中国に抵抗する際の後ろ盾になると強調していた。
実際問題、数ヵ月毎に米艦を南シナ海に監視航行させて、中国が一方的な海洋開発を進めないよう牽制してきた。
かかる具体的な行動がなされたことから、ドナルド・トランプ政権になって米国のアジア政策に疑念を感じていたアジア諸国は、再び米国との連携に自信を持った訳であるが、今回のマティス長官の辞任によって、再び動揺することになる。
ニューヨーク本拠のパーク政治戦略コンサルタント(1999年設立)のショーン・キング副代表は、東南アジア諸国含めて多くの首脳が、マティス長官は他のトランプ政権幹部と違って、米同盟国を支持してくれる人物として頼ってきたが、今回の辞任発表のニュースに接して、“またか”と米国不信に陥るものとみられると語った。
更に、キング氏は、トランプ大統領がシリアからの撤退を一方的に決めたとおり、マティス長官の後任にも、アジアから手を引かせるように仕向けるだろうとした上で、そこで“中国がその隙を縫って”勢いを増してこようとも付言した。
また、台北の国立政治大学(1927年設立)国際関係学部の黄奎博(ホアン・クェイボ)副学部長は、アジア諸国首脳らはマティス長官によるアジアとの連携方針に“頼り切って”いたはずであるとした。
何故なら、同長官は“シャングリラ対話(2002年に始まった「アジア安全保障会議」の通称)”に二度も出席していて、特に2018年会議において、米国の“パートナー”であるアジア諸国の海洋利権を守るために、米国は支援を惜しまないと強調していたからである。
なお、中国と南シナ海における領有権問題を有する東南アジア諸国の中で、ベトナムが最もマティス長官の辞任にショックを受けているとみられる。
一方、その他の東南アジア諸国は、安全保障面で米国の支援を求めているものの、経済支援については中国に大きく期待している。
また、シンガポール国立南洋工科大学(1991年設立)傘下のラジャラトナム国際研究センターのアラン・充(チョン)准教授は、トランプ大統領が目下自身の政権基盤を固めるために、同大統領に従順な幹部を登用してきているので、マティス長官の後任も“同大統領の発言に耳を傾ける”人を選ぶことになろうと語った。
なお、トランプ大統領は先日、マティス長官の退任に当って、来年1月1日付でパトリック・シャナハン国防副長官を国防長官代理に指名すると発表している。
閉じる