米朝会談以降、非核化プロセスが順調だとしてきたトランプ米大統領だが、米政府は北朝鮮への制裁を強化してきた。金正恩氏の側近がブラックリスト化されたのを機に、16日、北朝鮮外務省は声明を出し、米国による制裁を批判。外交圧力や人権侵害への介入が続けば、「皆が望む朝鮮半島の非核化への努力が永久に損なわれるかもしれない」と警告している。
12月16日付米国
『VOX』は「北朝鮮、米国の制裁継続により非核化が危うくなる」との見出しで以下のように報道している。
日曜、米国による制裁継続を好ましく思わない北朝鮮は、外交圧力や人権侵害への介入が続けば、非核化への努力が永久に損なわれる、との声明を出した。北朝鮮外務省は、「制裁強化により、核兵器開発を辞めさせるようとする方法は、大きな誤算である。実際には、朝鮮半島の非核化が永遠に息づまるという誰も望まない結果となるものである」とし、北朝鮮は国務省に対し、人権記録に基づく制裁(米国が人権詐欺と呼ぶ)の停止を求め、砲撃戦を求むとした。...
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12月16日付米国
『VOX』は「北朝鮮、米国の制裁継続により非核化が危うくなる」との見出しで以下のように報道している。
日曜、米国による制裁継続を好ましく思わない北朝鮮は、外交圧力や人権侵害への介入が続けば、非核化への努力が永久に損なわれる、との声明を出した。北朝鮮外務省は、「制裁強化により、核兵器開発を辞めさせるようとする方法は、大きな誤算である。実際には、朝鮮半島の非核化が永遠に息づまるという誰も望まない結果となるものである」とし、北朝鮮は国務省に対し、人権記録に基づく制裁(米国が人権詐欺と呼ぶ)の停止を求め、砲撃戦を求むとした。これは6月シンガポールで行われた米朝会談で非核化に合意した、金正恩とトランプ大統領との関係の薄さを示すものとなった。
この背景としては複数考えられる。非核化の定義に相違がある点、朝鮮戦争終結宣言の確約を米大統領が取れなかった事、米国が楽観視する一方で北朝鮮は、ミサイル製造を継続している点などである。トランプと金は相思相愛だとしても、政権同士は別問題なのである。トランプは過去の大統領より個人的な関係構築は上手くいったが、 シンガポール会談以降、米政府は経済・外交上の圧力をかけ続けた。
北朝鮮外務省は 8月、トランプ政権内の人物がトランプ大統領と異なる意図で動いていると批判しており、財務省が金氏の側近3名を人権侵害や検閲問題でブラックリスト化した後に、今回の声明が発表された。
北朝鮮では、8~13万人が政治犯として強制収容所で拘束されており、十数年の間に数百人、数千人が死亡、即決処刑や組織的な性的暴行も日常茶飯事である。
同日付米国『ニューヨーク・タイムズ』は「米国の強硬策では非核化への道が阻害されると北朝鮮が警告」との見出しで以下のように報道している。
日曜北朝鮮が、米国の制裁や人権キャンペーンは、非核化の機会を永久に無くしてしまうだろうと警告。トランプ大統領は非核化プロセスが順調だとしている一方で、米国は最大級の経済、外交圧力を北に与えている。
米朝会談後の数カ月間、米国は北朝鮮の企業、個人、船舶に対し、マネーロンダリング、サイバー攻撃、燃料の密輸などで制裁をかしている。
先週、財務省が北の側近3名を人権侵害や検閲問題でブラックリスト化したことで、北朝鮮は米国の対応への鬱憤を示した形となった。日曜、北の外務省は声明で、「米国務省その他の高官が北への制裁強化や前例のないレベルの人権詐欺で核兵器開発を辞めさせられると考えるなら、それは“大きな誤算”である。これは皆が望む非核化への道を永久に閉ざすものである。」としている。声明は、北朝鮮の米国研究所、政策研究所長から出され、朝鮮中央通信社から報じられた。
今回の声明は、危機は概ね解決済としていたトランプ大統領の姿勢と異なるもの。北朝鮮は米国の交渉に対し徐々に怒りをためていた。
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