米ワシントンを拠点とするシンクタンクの女性政策研究所(IWPR)が先週公表した研究結果によれば、2001~15年の米国の女性の収入は、子供の世話などのための休職期間を考慮に入れると、男性の約半分だったことが明らかになった。男女間の格差は、これまで一般的に想定されていたより、はるかに大きいことになる。
『ロイター通信』など複数のメディアが、11月28日にIWPRが公表した最新の研究結果を報じた。「依然として男性の労働市場」(Still a Man’s Labor Market)と題された同研究は、2001~15年の米女性の収入が、無収入の期間を含むと男性の収入より51%低い水準にあったと指摘している。
論文の共同執筆者であるIWPRのハイディ・ハートマン所長は声明で、「一般的に引用される指標の男性1ドルに対し女性が80セントという賃金格差は、職業の違い、即ち所謂「女性の選択」による誇張なのかどうかの議論がなされてきた。...
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『ロイター通信』など複数のメディアが、11月28日にIWPRが公表した最新の研究結果を報じた。「依然として男性の労働市場」(Still a Man’s Labor Market)と題された同研究は、2001~15年の米女性の収入が、無収入の期間を含むと男性の収入より51%低い水準にあったと指摘している。
論文の共同執筆者であるIWPRのハイディ・ハートマン所長は声明で、「一般的に引用される指標の男性1ドルに対し女性が80セントという賃金格差は、職業の違い、即ち所謂「女性の選択」による誇張なのかどうかの議論がなされてきた。しかし、我々の分析により、実際労働市場における賃金格差を過小評価していたことが判明した。」と述べた。
今回の研究は、従来のフルタイムの従業員の賃金を単年度で比較した調査ではなく、1968年以降の15年ずつの3期間を見て長期的な傾向をとらえ、1万8,000人を対象に、一時的に休職する従業員の賃金の減少などの要素も勘案した包括的なものであることが特徴だ。
IWPRによれば、女性のインフレ率調整後の年収は、1968~82年の1万4,000ドル(約160万円)から2001~15年の平均2万9,000ドル(約330万円)に上昇し、男女間の収入格差は縮小した。しかし、この15年間では縮小のペースは遅くなっている。そして、女性は男性と比べると1年以上休職する確率が2倍近くになり、1年間休職する女性の在職期間中の収入は、男性より平均39%少なくなるという。
企業は休職する従業員に対しては、性別を問わず、給与を削減するのが普通だ。そしてこの削減率は近年上昇している。女性の場合、休職する確率が高くなるため、そうした賃金カットの影響を受けやすい状況にある。
IWPRは、家族の世話や傷病に関する有給休暇を設け、保育費の金額が手頃な水準になれば、女性がより継続して働きやすくなり、受け取る賃金の額も上昇すると指摘した。また、男性がさらに家族の世話に費やす時間を持つようにと促している。
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