既報どおり、ドナルド・トランプ大統領が仕掛けた対中国貿易紛争の今後の行方によって、世界の株式市場は乱高下を繰り返している。そして、同大統領が今月末に習近平(シー・チンピン)国家主席と首脳会談を持ち、両国間の関係改善に期待が集まりつつある。しかし、その直前になって同大統領は、予定どおり首脳会談を開催しても、来年1月の対中国追加関税賦課は実施することとなろうし、また、同会談の結果が期待外れの場合、更なる関税賦課も検討するとまで言い出した。ただ、世界市場は、同大統領の恫喝外交(会談直前に相手方を腐す手法)に慣れたのか、上昇気配を示している。
11月27日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「トランプ大統領の対中国追加関税賦課発言にも拘らず世界株価は上昇」
ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は、11月30日~12月1日にアルゼンチンで開催される主要20ヵ国首脳会議(G-20サミット)に出席する機会を捉えて、二国間首脳会談を持つ予定である。
同会談は、トランプ大統領が対中国貿易不均衡是正のために関税賦課政策を打ち出し、これに対して中国側も報復関税賦課を決定して以来、初めての首脳会談となる。...
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11月27日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「トランプ大統領の対中国追加関税賦課発言にも拘らず世界株価は上昇」
ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は、11月30日~12月1日にアルゼンチンで開催される主要20ヵ国首脳会議(G-20サミット)に出席する機会を捉えて、二国間首脳会談を持つ予定である。
同会談は、トランプ大統領が対中国貿易不均衡是正のために関税賦課政策を打ち出し、これに対して中国側も報復関税賦課を決定して以来、初めての首脳会談となる。
両国関係者のみならず、国際社会も同会談を契機に事態が好転することを期待している。
しかしながら、同大統領は11月26日、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙のインタビューに答えて、来年1月に予定している中国製品2,000億ドル(約22兆6,000億円)に対する追加関税賦課について、それを引っ込めるということは“多分有り得ない”と発言した。
そして同大統領は、習国家主席との会談で期待通りの成果が得られなければ、更に追加の関税導入も検討するとまで付言した。
ただ、世界市場をみると、かかる不穏当な大統領発言にも拘らず、次のとおり11月27日の株価は概ね上昇に転じている。
・ドイツDAX指数(フランクフルト証券取引所のドイツ主要30銘柄株価指数):0.3%上昇して11,381.78。
・フランスCAC 40指数(パリ証券取引所の上位40銘柄株価指数):0.2%上昇の5,006.05。
・英国FTSE 100指数(ロンドン証券取引所の上位100銘柄株価指数):横ばいの7,037.15。
・日経平均:0.6%上昇の21,952.40。
・韓国KOSPI指数(韓国総合株価指数):0.8%上昇の2,099.42。
・豪州S&P/ASX 200(シドニー証券取引所の上位200銘柄株価指数):1%反発上昇して5,728.30。
・上海総合指数(上海証券取引所の全銘柄株価指数):0.1%下落して2,574.68。
・香港ハンセン指数(香港証券取引所の主要33銘柄株価指数):0.2%下落の26,331.96。
・その他、台湾、マレーシア、フィリピン市場では上昇も、シンガポール、インドネシア市場では下落。
一方、11月27日のニューヨーク・ダウ平均株価(ニューヨーク証券取引所の工業株30種平均指数)の始値は0.1%上昇の24,621.00、また、S&P 500(大型株500銘柄の加重平均指数)の始値も0.1%上昇の2,671.20で始まっている。
なお、トランプ大統領は、欧州連合離脱(Brexit)交渉に難儀している英国に対しても、離脱後の英国との貿易交渉は離脱前より厳しいものとなろう、とも発言しており、当該交渉の行方にも影響を及ぼしそうである。
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