本報告書は「第4次全米気候評価 第2巻」で、法律により連邦政府に作成が義務付けられたものである。13の連邦機関のチームによって、300人以上の科学者らの協力を得て取りまとめられた1,000頁以上にわたる詳細なものだ。米議会の議員らに報告する意図で作成されているが、取るべき対策などの推奨事項を具体的に挙げてはいない。しかし、内容は温暖化対策に後ろ向きのトランプ政権を批判し、早期に対処する必要性を説いている。...
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本報告書は「第4次全米気候評価 第2巻」で、法律により連邦政府に作成が義務付けられたものである。13の連邦機関のチームによって、300人以上の科学者らの協力を得て取りまとめられた1,000頁以上にわたる詳細なものだ。米議会の議員らに報告する意図で作成されているが、取るべき対策などの推奨事項を具体的に挙げてはいない。しかし、内容は温暖化対策に後ろ向きのトランプ政権を批判し、早期に対処する必要性を説いている。
報告書は、「温室効果ガスの排出量は歴史的な高い割合で増加し続けており、一部の経済分野での損失は今世紀末までに年間数千億ドルに達し、米国の多くの州の現在のGDPを超えることが見込まれる。」と指摘した。
また、「大幅で持続的な世界規模の温室効果ガスの排出量削減と地域的な適応努力がなされなければ、気候変動が米国のインフラや財産に及ぼす損害は拡大し、今世紀中の経済成長を押し下げるだろう。」と警告するとともに、影響は世界の貿易にも及び、輸出入価格や海外に事業やサプライチェーンを展開する米企業にも波及するとした。
さらに、これらの影響の一部は既に米国内で表れており、最近の異常な天候や気候に関連した現象は、人類が起こした温暖化によるものであるとますます確信できると説明している。本報告書他の連邦政府の文書に示された科学的な根拠は明白だ。
報告書第1巻は昨年11月に公表されており、既に気候変動の理由は、温室効果ガス排出という人間の活動以外に説得力のある説明ができないとしていた。今回の第2巻は、今年12月に公表されるとみられていたが、トランプ政権は、多くの国民が連休中で旅行や買い物に出ており、注目度が低くなりがちな感謝祭翌日の金曜日である23日に公表した。
トランプ米大統領は昨年の報告書の内容を否定し、先週も一部の国民にとってこの100年で最も寒い感謝祭になるとの予報について、「容赦なく長期化した寒波は全ての気象記録を打ち破る可能性がある。地球温暖化はいったいどうなったのだ?」と21日にツイートした。長期的な気候変動と短期的な天候の変化を混同しているようだったという。
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