フランスの各地で17日、燃料価格の高騰や自動車燃料税の増税に対する大規模な抗議デモが行われた。
『AFP通信』や
『テレグラフ』などのメディアによれば、「黄色いベスト」運動と呼ばれるこの抗議活動には、全国で約28万3,000人が参加したが、参加者1名が車に引かれて死亡し、227人が負傷した。
仏内務省によると、17日には全国の環状交差点や主要高速道路、幹線道路など2,000カ所以上で28万3,000人近くの人が抗議活動に参加し、道路を遮断して通行を妨害するなどしたが、227人が負傷、内警察官1人を含む7人が重傷を負い、117人が拘束された。
抗議活動の殆どが事故なく行われたが、車の運転手がデモ参加者に立ち向かったり、封鎖された道路を突破しようとしたりして争いが起きた場所もあった。...
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仏内務省によると、17日には全国の環状交差点や主要高速道路、幹線道路など2,000カ所以上で28万3,000人近くの人が抗議活動に参加し、道路を遮断して通行を妨害するなどしたが、227人が負傷、内警察官1人を含む7人が重傷を負い、117人が拘束された。
抗議活動の殆どが事故なく行われたが、車の運転手がデモ参加者に立ち向かったり、封鎖された道路を突破しようとしたりして争いが起きた場所もあった。東部のサヴォワ地域では、娘を医者に連れて行こうとした母親が、デモ参加者に車を囲まれ屋根を叩かれるなどしてパニックとなり、車を急発進させたため、63歳の女性が死亡する事故が発生した。
首都パリでは、大統領官邸であるエリゼ宮へと行進しようとシャンゼリゼ通りやコンコルド広場に集まった数百人のデモ参加者らが、「マクロン、辞めろ!」と叫んだり、フランス国家「ラ・マルセイエーズ」を歌ったりしていた。機動隊が催涙ガスを使い、進路を塞いだため、結局デモ隊はエリゼ宮には近づけなかった。
参加者が道路工事などの際に使用する安全ベストを着用していることから、デモは「黄色いベスト」運動と呼ばれている。ソーシャルメディアなどを通じて自然発生的に行われているもので、特定の主催者はいないという。大規模なデモは、マクロン政権下で2000年代初め以来の高値となっている燃料費などにより、購買力が停滞していることに対する国民の不満の広がりを示した。来年1月には、さらに燃料税の増税が予定されている。
『AFP通信』によれば、国民の不満はマクロン大統領自身にも向けられており、18日に仏日曜紙「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」に掲載された調査会社Ifopによる世論調査の結果では、11月の大統領の支持率は、前月から4ポイント減の25%にまで低下した。
同調査では、マクロン大統領の仕事ぶりに「非常に満足」とした人は僅か4%で、21%が「概ね満足」と回答した。一方、「概ね不満」は34%、「非常に不満」は39%と、不満と回答した人は7割を超えている。
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