米連邦捜査局(FBI)は13日、2017年に米国内で発生したヘイトクライムの件数は7,175件となり、前年の6,121件から17%急増したとの内容の報告書を発表した。トランプ政権の発足後、同種の犯罪が増加していることが明らかになった。
ヘイトクライムは、人種、宗教、性別、性的志向などを理由とした偏見や憎悪を動機とする暴行等の犯罪行為である。FBIによれば、2017年には、全ての種類のヘイトクライムの発生件数が増加した。人種に基づくヘイトクライムとしては、アフリカ系米国人を狙うものが最上位を占め、宗教的にはユダヤ教徒が標的とされることが最も多い。
米国の暴力的な犯罪件数は、全体的にはやや減少傾向にある。しかし、昨年のヘイトクライムの合計件数は3年連続の増加となり、2008年以来最多となった。...
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ヘイトクライムは、人種、宗教、性別、性的志向などを理由とした偏見や憎悪を動機とする暴行等の犯罪行為である。FBIによれば、2017年には、全ての種類のヘイトクライムの発生件数が増加した。人種に基づくヘイトクライムとしては、アフリカ系米国人を狙うものが最上位を占め、宗教的にはユダヤ教徒が標的とされることが最も多い。
米国の暴力的な犯罪件数は、全体的にはやや減少傾向にある。しかし、昨年のヘイトクライムの合計件数は3年連続の増加となり、2008年以来最多となった。反ユダヤ主義の犯罪の増加がその大きな原因だ。宗教に基づくヘイトクライムが23%近く増加したが、中でも反ユダヤ主義によるものは37%も増加している。
昨年のトランプ大統領の就任後、全米規模で社会的・政治的緊張が高まっていることが広く認識されている。FBIはヘイトクライムの増加の理由については触れていないが、同種の犯罪を報告する法執行機関の数が増え、地域的な広がりを見せているという。
マシュー・ウィテカー司法長官代行は声明で、「本報告書は対策を求めており、我々はこの要求に留意するつもりだ。」と述べ、「司法省の最優先事項は、米国の暴力的な犯罪を減少させることだ。ヘイトクライムは暴力的犯罪であり、米国人としての基本的価値に対する卑劣な侵害行為である。反ユダヤ主義の犯罪の増加には、特に心を痛めている。」と語った。
米国では今年に入ってからもヘイトクライムの発生が続いている。FBI報告書の発表前、2件の銃乱射事件が米国社会を震撼させたが、内1件は、先月ペンシルバニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で男が銃を乱射し、11人のユダヤ教信者が殺害されたものだった。
さらにトランプ大統領を支持するフロリダ州在住の男によって、大統領に批判的な有名人や民主党関係者などに宛てて、パイプ爆弾と思われる不審物が次々に郵送されるという事件も発生している。
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