中国の李克強首相は13日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会合に出席するために訪問中のシンガポールで講演し、南シナ海の行動規範策定に関する東南アジア諸国との協議について、3年以内に完了したいとの意向を示した。その上で、こうした合意は自由貿易の強化に繋がるとの見解を明らかにした。
ASEAN加盟の数カ国と中国は、世界で最も船舶の航行が多い海域の1つである南シナ海の島々について領有権を争っている。過去数年間にわたり、各国は紛争の拡大を防止するための協定について協議してきた。
今年8月に行われた中国とASEAN10カ国の外相会議で、参加各国は、南シナ海における行動規範の策定を巡り、今後長期に及ぶ交渉を継続していくため、たたき台となる文書のとりまとめについて合意している。...
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ASEAN加盟の数カ国と中国は、世界で最も船舶の航行が多い海域の1つである南シナ海の島々について領有権を争っている。過去数年間にわたり、各国は紛争の拡大を防止するための協定について協議してきた。
今年8月に行われた中国とASEAN10カ国の外相会議で、参加各国は、南シナ海における行動規範の策定を巡り、今後長期に及ぶ交渉を継続していくため、たたき台となる文書のとりまとめについて合意している。
李克強首相は、ASEAN関連の各種会合に出席するため、シンガポールを訪問中である。習近平主席は2015年に同国を訪れたが、中国首相の訪問は11年ぶりだ。李首相はシンガポールのホテルで講演し、「行動規範の協議を3年で完了し、南シナ海の恒久的な平和と安定に貢献するのが中国の希望だ。」とその意向を明らかにした。また、「中国とASEAN諸国はこのプロセスの恩恵を得るが、これは自由貿易を促すことに繋がり、他国の利益にも資することになる。」と指摘した。中国の指導者が妥結時期に言及したのは初めてだ。
中国は、米国との貿易戦争が深刻さを増す中、東南アジア諸国との議論を主導することにより、米国の南シナ海問題への介入をけん制している。ポンペオ米国務長官とマティス米国防長官は先週、中国に南シナ海の軍事拠点化を中断するよう要求したが、中国はこれに対し、米国が同海域に艦船を派遣し、「航行の自由作戦」を行っていることを批判した。
李首相はシンガポールで行われた別の行事で、米国との貿易戦争に触れ、中国は、相互の敬意と信頼に基づき合意に至ることを希望すると述べ、続けて「いかなる貿易戦争にも勝者はいない。」と強調した。
李首相はまた、ASEANに日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国を加えた計16カ国で自由貿易協定(FTA)を進める構想「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」について、年内の実質妥結は難しい情勢であるが、2019年には最終的な合意をまとめたいとして、今週の会合で交渉の実質的な進展を期待すると語った。
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