マクロン大統領は11日、第1次世界大戦の終結から100周年となる記念日の行事で世界各国の首脳を迎える予定であり、一週間をかけて当時の戦場となった地域を回っている。大統領は、欧州の70年にわたる平和は当然のことと考えてはいけないと述べた。
2017年5月に就任して以来、欧州連合(EU)加盟国による合同の軍隊創設を訴えてきたマクロン大統領は、トランプ米大統領が、冷戦時代の1987年に締結されたロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明する中で、米国の戦力に依存する度合いを薄めることが必要と主張している。...
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マクロン大統領は11日、第1次世界大戦の終結から100周年となる記念日の行事で世界各国の首脳を迎える予定であり、一週間をかけて当時の戦場となった地域を回っている。大統領は、欧州の70年にわたる平和は当然のことと考えてはいけないと述べた。
2017年5月に就任して以来、欧州連合(EU)加盟国による合同の軍隊創設を訴えてきたマクロン大統領は、トランプ米大統領が、冷戦時代の1987年に締結されたロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明する中で、米国の戦力に依存する度合いを薄めることが必要と主張している。
マクロン大統領は、地元の民法ラジオ局「ヨーロッパ1」のインタビューで、「我々は中国、ロシア、そして米国に対しても、自衛をしなければならない。」と述べ、「1980年代に欧州を襲ったミサイル危機の後に締結された重要な軍縮条約から、トランプ大統領が離脱すると発表したことで、誰が主な犠牲者となるのか? 欧州とその安全保障だ。」と指摘した。そして、「我々は、実体ある欧州軍を持つという決断をしなければ、欧州市民を防衛することにはならないだろう。」と持論を展開した。
マクロン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)からは独立した、共同の軍事行動を素早く取ることができ、戦争地域から市民を避難させたり、自然災害時に救援活動を行ったりすることができる仏独など9カ国による欧州軍の創設を主導してきた。
9カ国の国防相らは、欧州軍運営の詳細を協議するため、7日に仏パリで初めての会合を行うこととした。フィンランドがこの構想に加わるとの報道も出ている。欧州委員会も合同軍について前向きに考え始めているという。
EUは2021年から防衛関連の予算を大きく拡大し、新たな装備の研究開発などを行うこととした。また、常設の防衛協力の枠組みであるPESCOの下で、25カ国が防衛費や軍事活動などについて調整を行っていくこととしている。但し、欧州軍としての合同の実体ある軍隊の創設については、時期尚早として、これまでは異論も多かった。
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