中国の航空機利用者は特に急増し、2040年には40億人に達し、世界の搭乗者総数に対する割合では米国を抜いて、世界最多の19％を占めると予想されている。...

中国の航空機利用者は特に急増し、2040年には40億人に達し、世界の搭乗者総数に対する割合では米国を抜いて、世界最多の19％を占めると予想されている。米国の搭乗者数は31億人で、15％の2位に後退し、インドが13億人で、6.3％の3位となる見通しだ。上位3カ国を合計すると、世界の搭乗者総数の約40％を占めることになる。

搭乗者数は新興国や発展途上国で大きく増加し、その多くがアジア太平洋地域の国々であることから、世界の航空ネットワークの重心は東へと移っていく。新興国や発展途上国の航空機利用者は、20年後には世界の60％超を占め、アジア太平洋地域の国々の空港で、世界の半数以上の乗客が飛行機に搭乗するようになるという。

ACIが、今後20年間で航空機の搭乗者数が急増すると予想する上位10カ国とその伸び率は、次のとおりである。1. ベトナム 7.8%、2. インド 6.8%、3. サウジアラビア 6.2%、4. アラブ首長国連邦邦 5.7%、5. 中国 5.5%、6. フィリピン 5.4%、7. インドネシア 5.4%、8. コロンビア 5.4%、9. メキシコ 5.4%、10. マレーシア 4.8%

搭乗者数の大幅な増加予想は、世界の航空業界にとって良いニュースだ。航空業界は既に将来の利用者の増加を見越し、新空港の建設や既存の空港施設の改修に多額の資金を投じている。しかしACIは、乗客の増加はそれ以上に急速であり、これに追いついて大混雑を避けるためには、航空ネットワークにさらに多くの投資が必要であると指摘している。

一方でACIは、トランプ米政権などにより推進されている移民排除の方針や自国第一主義的な貿易政策が、人々の移動を妨げ、搭乗者数の大幅な増加予測を覆すかも知れないと懸念を示した。経済統合や航空自由化などの動きを後退させることとなる地政学的な緊張のリスクや保護主義的な政策は、航空業界に悪影響を及ぼす可能性があると警告している。