米フェイスブックは19日、元英副首相のニック・クレッグ氏を国際戦略・広報担当チームを率いるポストに採用すると発表した。同社は個人情報の漏えい、偽ニュース、外国の選挙介入などの不祥事が相次いでいるが、信頼の回復のために実力者を起用する。
クレッグ氏は51歳。英自由民主党の元党首で、2010~15年に、保守党のデビッド・キャメロン首相の連立政権下で副首相を務めた。シリコンバレーの企業で役員を務める欧州の政治家としてはこれまでで最も格上の人物であり、フェイスブックの危機感が表れている。欧州議会議員も歴任した大物の採用には、同社への監視を強める欧州連合(EU)や各国の規制当局への対応を強化する狙いがあるとみられており、同氏の力量が試される。
2015年の総選挙で保守党が過半数を獲得した一方、クレッグ氏率いる自由民主党は大きく議席を減らして連立政権を離脱。クレッグ氏は副首相を退任するとともに、党首の座からも退いた。当時学校の授業料を値上げしないとの公約を守らなかったことなどにより、同氏は若年層の支持を失い、昨年の総選挙では労働党の候補に敗れて議席を失った。
フェイスブックは、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)とシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が同氏の採用プロセスに深く関与し、今夏からクレッグ氏を同社に迎える話を進めていたことを明らかにした。
サンドバーグCOOは、クレッグ氏の入社について、「当社が直面する課題は深刻かつ明確であり、かつてないほどに、変革の時期に我々を支援してくれる新たな視点が必要だ。」と自信のフェイスブック上に投稿した。
クレッグ氏は、22日からサンドバーグCOOを直属の上司として勤務する。来年には家族とともにカリフォルニアに赴任する予定だ。前任者のエリオット・シュレージ氏は弁護士出身で、グーグルを経てフェイスブックで約10年間勤務したが、6月に一連の不祥事の責任を取る形で辞任している。シュレージ氏は、サンドバーグ氏の相談役として、同社に留まるという。
クレッグ氏は、「私は公人としてずっと、困難で論争の的となるような問題に取り組み、そうした問題を他の人々に伝えることを楽しんできた。そうした技能を多少なりとも私の新たな役割に活用できれば良いと思う。」と抱負を述べた。
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