中国本土と香港・マカオを結ぶ世界最長の海上橋の開通式が、23日に行われる見通しとなった。中国南部の広東省・珠海で行われる予定の式典には、習近平国家主席が出席するとの報道もある。しかしながら、開通式の発表と同時に、同橋の建設プロジェクトの不透明性を巡って批判も起きている。
世界最長の海上橋「港珠澳大橋」の建設は2009年に始まった。香港のランタオ島(大嶼山)から珠江デルタの海域を渡り、中国南部の広東省・珠海やマカオを結ぶ。橋は主橋部(22.9キロ)、海底トンネル部分(6.7キロ)などから構成され、全長55キロに及ぶ。
中国政府は「粤港澳大湾区」(広東・香港・マカオ大湾区)構築の構想を進めており、珠江デルタ地帯の広州、深圳などの9都市と香港、マカオの経済連携を強化し、先進産業の集積、貿易の拡大などを図ることを目指している。...
全部読む
世界最長の海上橋「港珠澳大橋」の建設は2009年に始まった。香港のランタオ島(大嶼山)から珠江デルタの海域を渡り、中国南部の広東省・珠海やマカオを結ぶ。橋は主橋部(22.9キロ)、海底トンネル部分(6.7キロ)などから構成され、全長55キロに及ぶ。
中国政府は「粤港澳大湾区」(広東・香港・マカオ大湾区)構築の構想を進めており、珠江デルタ地帯の広州、深圳などの9都市と香港、マカオの経済連携を強化し、先進産業の集積、貿易の拡大などを図ることを目指している。同地域を世界有数のベイエリアとして成長させていく考えであり、港珠澳大橋はそのための重要なインフラとなる。
港珠澳大橋の開通後には、毎日約2万9,000台の車両の通行が見込まれ、珠海・香港間の所要時間は、従来の約4時間から約45分にまで短縮される。中国本土と香港間では、先月深圳北駅と香港・西九龍駅をわずか17分で結ぶ高速鉄道も開通しており、香港は広東省の経済圏に次第に吸収されつつある。
港珠澳大橋の建設に当たっては、工期の遅延、予算の超過、汚職事件、建設労働者の死亡事故などの様々な問題が発生し、紆余曲折があった。建設推進派は、橋の完成を偉大な工学技術上の快挙として称賛しているが、中国政府が半自治権のある香港への締め付けを強める中で、本土との統合をさらに強化することを意図した膨大な金額をかけたプロジェクトとの批判も出ている。
香港の地元メディアは17日、来週23日に珠海で開通式を行うとして招待を受けたが、詳細は明らかにされていない。中国の習近平国家主席が式典に出席するとの報道もあるが、当日橋が実際に通行可能となるかなどについては、正式には発表されていない。
こうした橋の運営に関わる事項が一切明かされていないことに対し、透明性を欠くとして批判の声が上がっている。高速鉄道が香港まで開通した際にも、中国政府の職員が香港側で出入境検査を行うことなどについて、同様の問題があったという。
閉じる