米ワシントン大学・保健指標評価研究所(IHME)は16日、2040年の長寿国ランキングは大きく入れ替わり、長年世界一を守ってきた日本に代わってスペインが首位となるとの研究結果を英医学誌ランセットに公開した。
同研究所は、世界195の国と地域について2016年のデータを分析し、2017~40年の平均寿命を予測した。これによると、世界全体の平均寿命は、2016年の73.8歳から40年には77.7歳になる。現在の長寿国世界一は平均寿命83.7歳の日本だが、40年にはスペインが平均寿命を85.8歳に伸ばし、日本の85.7歳を抜いてトップに立つ見通しだ。
スペインの医療制度は、世界保健機関(WHO)から世界で7番目の高い評価を受けており、先月、野菜や果物、魚などが中心の地中海料理が健康に良いとの研究結果も示された。...
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同研究所は、世界195の国と地域について2016年のデータを分析し、2017~40年の平均寿命を予測した。これによると、世界全体の平均寿命は、2016年の73.8歳から40年には77.7歳になる。現在の長寿国世界一は平均寿命83.7歳の日本だが、40年にはスペインが平均寿命を85.8歳に伸ばし、日本の85.7歳を抜いてトップに立つ見通しだ。
スペインの医療制度は、世界保健機関(WHO)から世界で7番目の高い評価を受けており、先月、野菜や果物、魚などが中心の地中海料理が健康に良いとの研究結果も示された。隣国ポルトガルも、長寿国23位から40年には5位に急上昇すると予測されている。
首位のスペイン、2位の日本に続き、2040年の長寿国ランキング10位までには、3位 シンガポール(85.4歳)、4位 スイス(85.2歳)、5位 ポルトガル(84.5歳)、6位 イタリア(84.5歳)、7位 イスラエル(84.4歳)、8位 フランス(84.3歳)、9位 ルクセンブルク(84.1歳)、10位 オーストラリア(84.1歳)が入り、多くの先進諸国が名を連ねた。
一方、現在世界で最貧の国々は、将来の平均寿命の見通しも明るくない。2040年の平均寿命下位30カ国は、アフガニスタンを除き、いずれもサハラ以南のアフリカ諸国や太平洋の小さな島嶼国が占め、平均寿命は57~69歳にとどまると予測されている。レソト、中央アフリカ共和国、ジンバブエ、ソマリア、スワジランドが最下位の5カ国となった。
論文の筆頭執筆者であり、IHMEでデータ科学の責任者を務めるカイル・フォアマン氏は、「世界の保健状態の未来は、運命付けられてはいない。」「しかし、平均寿命が大きく伸びるか停滞するかは、主要な健康要因に対する保健システムの対応方法の良し悪しにかかっている。」と指摘した。
今から20年後の平均寿命を決定する5つの主要な要因は、高血圧、肥満、高血糖、飲酒、喫煙とされており、全てが生活習慣病関連のものだ。より一般的な言い方をすれば、既に進行中のことでもあるが、早期死亡の原因は、今後感染症から非感染症へと急速に変化していく。さらに、これらに迫る第6番目の要因として、科学者らの見積もりでは、中国だけで1年に100万人の命が奪われているという大気汚染が挙げられている。
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