国際通貨基金(IMF)は、米国と中国間の貿易摩擦や新興国市場への影響を考慮し、世界経済の成長率予測を下方修正し3.7%と予測した。今年の成長は据え置いたものの、過去3ヶ月で世界経済見通しのリスクが上昇したとし、米国の成長率も0.2%減の2.5%に減じると予測。日本の成長率はやや上昇し、1.1%に修正された。IMFは、米国の減税等による経済刺激策の効果は2020年に減退し始めると予測している。
10月9日付米国
『CNN』は「貿易戦争は来年の米国と中国の成長に打撃、IMF警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易戦争が米国と中国の2019年の経済成長を妨げるとして、IMF国際通貨基金が両国の成長率を下方修正した。両国が互いに課す関税応酬を要因とし、他国にも悪影響を及ぼすとの予測。
IMFの年次総会で、チーフエコノミストのモーリス・オブストフェルドが記者会見で述べた。...
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10月9日付米国
『CNN』は「貿易戦争は来年の米国と中国の成長に打撃、IMF警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易戦争が米国と中国の2019年の経済成長を妨げるとして、IMF国際通貨基金が両国の成長率を下方修正した。両国が互いに課す関税応酬を要因とし、他国にも悪影響を及ぼすとの予測。
IMFの年次総会で、チーフエコノミストのモーリス・オブストフェルドが記者会見で述べた。
米国では減税により好調な経済だが、IMFのエコノミストは、米国経済のGDPを今年の2.9%だが、来年には前回予測より0.2%下方修正した2.5%に減じると予測。トランプ政権は、今年中国製品の約半分に関税を課し、米国に輸入される中国製品全てを対象に拡大すると警告している。
また、マクロ経済レベルで貿易政策と先行き不透明感が顕著となり、世界経済見通しを0.2%減の3.7%に修正し、今後数年間は低迷期となると予測した。貿易の緊張関係が高まったり、政策の不確かさから、ビジネスや金融市場感情が損なわれ、市場が不安定となり、投資や貿易が滞ると見ている。この貿易戦争が続くと更に下方修正が加わるとみられる。一方で、米中間の摩擦が解消すれば、経済予測は上昇に転じるとしている。
減税等の経済刺激策の効果減退は2020年に現れ始めると予測している。
同日付米国『ブルームバーグ』は「IMFが貿易戦争の影響で世界経済見通しを下方修正」との見出しで以下のように報道している。
インドネシアバリで開かれる年次総会前夜、IMFは、今年と来年の世界経済成長を3ヶ月前の3.9%から3.7%へと下方修正した。2016年7月以来の下方修正。
世界経済は昨年のペースで順調な一方、けん怠感が現れ、ブラジルやトルコなど新興市場で陰りが見えているという。今年の米国経済の成長幅は据え置いたが、来年は貿易摩擦の影響を加味し下方修正された。
世界経済予測へのリスクは、過去3ヶ月で現れたという。米中貿易戦争の激化、新興市場での投資逃避に繋がる予測以上の利率上昇が懸念される。
中国の来年の経済成長も3ヶ月前の予測より0.2%下げ、6.2%に修正された。ユーロ圏は今年2%上昇、日本の成長は、7月の予測より0.1%上がり、1.1%に修正された。アルゼンチン、ブラジル、イラン、トルコなどの新興市場も金融引き締め策などの要因で、経済予測が下方修正された。
日用品の値上がり等により今年インフレが加速すると予測、価格変動商品を含むコア・インフレ率は国ごとに異なるとしている。
長期的に見て、先進国の課題は高齢化人口と生産人口の減少だとIMFは見ており、世界経済成長は、2022~23年にかけ3.6%に減少と予測、経済政策立案者は、この低迷期に長期的視点で考えねばならないとしている。
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