国防総省の関係者が、メディアの取材に対し、「米海軍の誘導ミサイル駆逐艦ディケーターが
『航行の自由作戦』を実施し、南沙諸島のガベン礁とジョンソン礁の周辺で、12海里(約22キロメートル)以内を航行した。」と認めた。一般的に、陸地から12海里以内が領海として認識されており、中国は南沙諸島全域の領有権を主張している。
同海域の全ての米軍の作戦は、「国際法に則って計画されており、米国は国際法が認める場所ではどこでも飛行し、航行し、行動することを明示している。...
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国防総省の関係者が、メディアの取材に対し、「米海軍の誘導ミサイル駆逐艦ディケーターが
『航行の自由作戦』を実施し、南沙諸島のガベン礁とジョンソン礁の周辺で、12海里(約22キロメートル)以内を航行した。」と認めた。一般的に、陸地から12海里以内が領海として認識されており、中国は南沙諸島全域の領有権を主張している。
同海域の全ての米軍の作戦は、「国際法に則って計画されており、米国は国際法が認める場所ではどこでも飛行し、航行し、行動することを明示している。」と同関係者は説明し、中国の一方的な領有権の主張や軍事拠点化を許さない姿勢を強調した。また、「航行の自由作戦」は定期的に実施しており、今後も継続していくと述べた。
米軍は先月、南シナ海上空にB52戦略爆撃機を2度飛行させたばかりであり、今回の作戦の実施に対しても、中国側の強い反発が予想される。7月にやはり係争地の西沙諸島(パラセル諸島)で米国が航行の自由作戦を遂行した際には、軍艦と戦闘機を派遣して激しく抗議した。西沙諸島は、中国の他、台湾やベトナムも領有権を主張している。
また5月には、米海軍の誘導ミサイル駆逐艦デューイが、南沙諸島のミスチーフ環礁から12海里以内を航行し、中国国防相の報道官は、米国に厳しく抗議したことを明かし、米国の動きは南シナ海の平和と安定に資するものではないとの認識を示した。
中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張しているが、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムなども、それぞれが一部の領有権を主張している。中国は軍用機を稼働させることのできる人工島の建設を積極的に進めており、これら諸国や米国などとの対立を招いている。
トランプ米政権は、こうした海洋進出や軍事力増強を図る中国の動きをけん制し、米中関係は様々なレベルで緊張が高まっている。トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争に加え、中国がロシアから戦闘機やミサイルなどの武器を購入したことに対する米国の制裁や、台湾への武器売却は、中国を激怒させた。中国は米海軍との制服組トップ会談のキャンセルや、米艦船の香港入港拒否などで応じ、対抗する姿勢を見せている。
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