中国政府が米軍艦の香港への寄港を拒否していたことが26日までに判明した。米国はロシアから武器を購入したとして、中国軍を制裁の対象としたばかりであり、貿易問題などで既に冷え込んでいる両国の関係が、さらに悪化する可能性がある。
今回香港への寄港を拒否されたのは、米国軍艦の「ワスプ(Wasp)」。同船は強襲揚陸艦で、佐世保の米海軍基地に配備されている。複数の米当局者からの情報によると、1,000人超の水兵等の一団を乗せて、来月香港に寄港する予定であったという。
中国が米国に抗議し、米艦船の訪問を拒否したのは、これが初めてのことではない。直近では2016年4月に、米空母「ジョン・C・ステニス(John C. Stennis)」の香港寄港を拒否している。...
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今回香港への寄港を拒否されたのは、米国軍艦の「ワスプ(Wasp)」。同船は強襲揚陸艦で、佐世保の米海軍基地に配備されている。複数の米当局者からの情報によると、1,000人超の水兵等の一団を乗せて、来月香港に寄港する予定であったという。
中国が米国に抗議し、米艦船の訪問を拒否したのは、これが初めてのことではない。直近では2016年4月に、米空母「ジョン・C・ステニス(John C. Stennis)」の香港寄港を拒否している。同船はカーター米国防長官(当時)が、中国が進出を加速する南シナ海を視察するために使われていた。
今回の寄港拒否により、貿易問題などで既に冷え込んでいる米中関係が、一段と悪化することが見込まれる。中国が昨年から今年にかけて、ロシアから戦闘機やミサイルシステムなどの兵器を購入したことにより、米国は先週、中国軍の調達部門である装備発展部およびその責任者に対し、制裁を科したばかりだった。
米国の制裁に対し、中国の反応は早く、厳しい内容のものだった。鄭沢光外務次官が米国のブランスタッド駐中国大使を呼び出し、厳重に抗議した。そして22日に予定されていた米海軍との制服組トップ間の会談に応じないことを直前に決定し、加えて今回のワスプの入港拒否の措置を取った。
中国外務省の耿爽報道官は25日、中国が米艦船の入港を拒否したかとの記者団の質問に直接答えず、「中国側では、米艦船の香港寄港の要請を、主権の原則に従い、個別案件毎に特定の状況を勘案した上で、審査し承認する。」とだけ説明した。
米中貿易戦争は収まる気配がない。トランプ米政権は24日、中国からの輸入品2,000億ドル(約22兆5,700億円)に対する新たな関税措置を発動し、中国はすぐに報復措置を取った。さらに事態を悪化させるものとして米国は24日、台湾に対し、3億3,000万ドル(約372億円)の戦闘機部品などの武器の売却を発表した。中国は25日、米国に対する強い不満を表明し、契約の撤回を迫った。両国の対立はますます深まっている。
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