欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は24日、ポーランドの最高裁判事の定年を70歳から65歳に引き下げる新法は、司法の独立の原則を損ねるものであり、EU法に違反しているとして、同国政府をEU司法裁判所に提訴した。
欧州委員会は、新法の施行は、「ポーランドの司法の独立に重大かつ修復できない損害をもたらす。」とした上で、その結果、加盟各国の裁判所による決定の相互承認を含む「EUの法的秩序」が傷つくことになると提訴の理由を説明した。
最高裁判事の定年引き下げにより、前政権の下で任命された現職の判事の退職が早まり、現在の右派政権寄りの考えを持った人物が新たに任命されることが懸念されている。新法が施行されれば、ゲルスドル長官を含む最高裁判事72名の3分の1以上に当たる27名が退職を余儀なくされることとなるが、長官は、2020年までの6年間の任期が憲法上保証されているとして退職を拒んだ。...
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欧州委員会は、新法の施行は、「ポーランドの司法の独立に重大かつ修復できない損害をもたらす。」とした上で、その結果、加盟各国の裁判所による決定の相互承認を含む「EUの法的秩序」が傷つくことになると提訴の理由を説明した。
最高裁判事の定年引き下げにより、前政権の下で任命された現職の判事の退職が早まり、現在の右派政権寄りの考えを持った人物が新たに任命されることが懸念されている。新法が施行されれば、ゲルスドル長官を含む最高裁判事72名の3分の1以上に当たる27名が退職を余儀なくされることとなるが、長官は、2020年までの6年間の任期が憲法上保証されているとして退職を拒んだ。
欧州委員会は、ポーランドが判事らの退職を加速化していると警告し、EU司法裁判所にできるだけ早く最終的な判断を示すよう求めていると述べた。判決が下されるまでの間、新法適用の差し止めも求める。もし裁判でポーランドがEU法に違反していると判断されれば、制裁金が科される可能性がある。
同委員会は、新法は広い意味で、EU条約の下でポーランドに課された義務に違反していると指摘する。EUは同国で愛国主義的な政治理念を掲げる右派の「法と正義(PiS)」が2015年の選挙で政権を獲得して以来、その司法改革をめぐり警告を発してきた。
EUはそれ以来2年以上にわたり、ポーランド政府と協議を続けてきたが、ポーランドは警告を無視し、汚職対策や共産主義時代の影響が残る司法制度を修正するために、改革が必要であると反論している。ポーランド政府のコプチンスカ報道官は、政府は法廷でその法的立場を守る用意があると、地元メディアに対し述べた。一方、EUは同国の措置により三権分立が損なわれ、民主主義や法の支配を脅かすことになると懸念している。
ポーランドやその他の加盟国が、ポピュリスト的、権威主義的な傾向を強めていることについて、EUは警戒感を示している。欧州議会は今月、報道の自由や司法の独立、人権の保護などのEUの基本的な価値を侵しているとして、ハンガリーに対し制裁手続を取ることとした。
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