イタリア北部のベネチアは、他の観光都市と同様、観光客の増大による様々な問題への対応に苦慮している。同市ではこのほどルイジ・ブルニャーロ市長が、対応策の一環として、指定外の場所に座った者に対し、最高500ユーロ(約6万6,000円)の罰金を科すことを議会に提案した。
今回の市長の提案による禁止令の文言などの詳細は、現在市議会で検討中であり、来月の採決が見込まれている。完全に新たな内容の提案ではなく、サンマルコ広場やリアルト橋などの人気観光スポットでは、既に所定の場所以外で座ることが禁じられている。
これらは全て、2017年に始まり今夏から本格的に実施された、観光客に地元住民への配慮を求める「エンジョイ・リスペクト・ベネチア(#EnjoyRespectVenezia)」キャンペーンの一環であり、同市に観光客が詰めかける事態への対応方針を示している。...
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今回の市長の提案による禁止令の文言などの詳細は、現在市議会で検討中であり、来月の採決が見込まれている。完全に新たな内容の提案ではなく、サンマルコ広場やリアルト橋などの人気観光スポットでは、既に所定の場所以外で座ることが禁じられている。
これらは全て、2017年に始まり今夏から本格的に実施された、観光客に地元住民への配慮を求める「エンジョイ・リスペクト・ベネチア(#EnjoyRespectVenezia)」キャンペーンの一環であり、同市に観光客が詰めかける事態への対応方針を示している。
同市では他にも観光客に対する多くの禁止・注意事項があり、道路の右側を歩行する、橋の上で移動の妨げとなるように留まらない、自転車走行をしないなどの指示が出されている。また、水着で歩いたり、ハトに餌をやったりしてはいけない。ごみのポイ捨て、落書きなどは当然NGだ。禁止行為には、現在でも最高500ユーロの罰金が科される。
ベネチアは世界で最も人気のある観光地の1つであり、毎日平均約6万人が訪れる。日本人観光客の間でも人気が高い都市だ。その狭い歴史的な通りは非常に混雑する場合もあり、市当局者らは、観光客の流入増大により、同市での観光客の体験ばかりでなく、地元住民の住環境にも影響が及ぶ事態を懸念している。同市は5月、メーデーの週末の連休に、観光客の移動の規制など、地元住民と切り離す措置も実施した。ブルニャーロ市長が、観光客の殺到を想定し、公衆の安全や治安、生活を保障する緊急対策を導入した。
ベネチアは、ユネスコの世界遺産の街であり、長い間持続的な観光政策を提唱してきた。同市議会のウェブサイトでは、毎日の観光客数の予想を伝え、観光客に混んだ観光スポットを避けるよう助言するとともに、迂回路なども示している。
イタリアで観光客に対する罰金の措置を導入したのは、ベネチアだけではない。フィレンツェは今月、街路で止まって物を食べることを禁じ、最高500ユーロの罰金を科すこととした。サルデーニャ島では、ビーチの砂の盗難を禁止したが、罰金は500~3,000ユーロ(約6万6,000円~約39万6,000円)とさらに高額だ。
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