既報どおり、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア主導の下で、イラン・トルコと協調してシリア内戦終結に向けて注力している。そのためには、不幸にもシリア軍によって撃墜されたロシア兵らの犠牲には目をつむり、イスラエル軍のミサイル攻撃に対抗しようとして起きた偶発的事故だとして、アサド政権を擁護する発言をした。
9月18日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「プーチン大統領、シリア軍によるロシア軍機撃墜は“悲惨な事故”とシリア政府を擁護」
ウラジーミル・プーチン大統領は9月18日、前日晩にシリア軍によってロシア軍偵察機が撃墜された問題について、“悲劇的な偶発事故”だとの見解を発表した。
シリアの地中海沿岸近くを飛行していたロシア軍偵察機が、イスラエル軍機によるミサイル攻撃に対抗しようとしていたシリア軍の防空ミサイルによって撃ち落とされ、乗員15人が犠牲になっている。...
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9月18日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「プーチン大統領、シリア軍によるロシア軍機撃墜は“悲惨な事故”とシリア政府を擁護」
ウラジーミル・プーチン大統領は9月18日、前日晩にシリア軍によってロシア軍偵察機が撃墜された問題について、“悲劇的な偶発事故”だとの見解を発表した。
シリアの地中海沿岸近くを飛行していたロシア軍偵察機が、イスラエル軍機によるミサイル攻撃に対抗しようとしていたシリア軍の防空ミサイルによって撃ち落とされ、乗員15人が犠牲になっている。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はイスラエルのアビグドル・リーベルマン国防相に電話して、全責任はイスラエルにあり、ロシアは報復する権利があると通告していた。
しかし、これに対してプーチン大統領は、シリア内戦が一段と複雑化する事態を回避しようと考えての発言とみられる。
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ロシア軍機の犠牲者を悼み、シリア側に責任があると表明した。
ロシア国防省の発表では、イスラエル軍機がシリア軍の防空ミサイルを避けるためにロシア軍機の陰に隠れる動きをしたと糾弾している。
ただ、プーチン大統領としては、イスラエルとの良好な関係は維持しようと試みながら、一方でシリア政府軍による反政府組織との戦いを引き続き後押ししていく意向である。
一方、9月20日付ロシア『タス通信』:「イスラエル空軍司令官、ロシア軍機撃墜事故に関わる情報提供のためモスクワ入り」
イスラエル国防軍は9月19日、同空軍司令官のアミカン・ノルキン少将が、ロシア機撃墜事件に関する情報をロシア側に提供するため、モスクワに向かったと発表した。
同軍発表によると、同少将一行はロシア側に対して、イランがレバノンのヒズボラ(シーア派武装組織)に武器を供給し、また、シリアにおいても軍事拠点を築くべく活動していることから、イスラエル軍としてそれを叩く必要があった等の情報も提供するとしている。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は9月19日朝、プーチン大統領が前日にネタニヤフ首相と電話会談した際、ロシア機撃墜事件の情報提供のためにノルキン少将一行をモスクワ訪問させたいとの同首相提案を受け入れた旨明らかにしていた。
同報道官はまた、プーチン大統領は、ロシア国防省の情報が拠り所となるとしながらも、イスラエル側の情報についても専門家に分析させる必要があると考えていると付言した。
なお、ロシア国防省の発表では、イスラエル軍のF-16戦闘機4機が、シリア北西部のラタキア県(地中海に面する県)空爆に向かっていたところ、同戦闘機を狙ったシリア軍の防空ミサイルが、同機を覆うように飛行してきたロシア軍偵察機に命中したとする。
そこで、ショイグ国防相は早速、イスラエルのリーベルマン国防相に電話して、イスラエル軍による無責任な行動によって引き起こされた悲劇について強硬に非難したという。
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