フィリピンのドゥテルテ大統領は8日、8月の物価上昇率が9年ぶりに高水準となったのは、トランプ米大統領の経済政策が原因であるとの独自の見方を示した。現地メディアやAFP通信などが報じている。
同国の8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、アナリストらの大方の見通しを大きく上回る前年同月比6.4%となり、9年ぶりの高い水準となった。ドゥテルテ大統領の支持率は、依然として高い数字を維持しているが、食料品やサービス価格の上昇、通貨ペソの下落などは、野党の攻撃材料となっている。
インフレの加速について記者団から質問されると、ドゥテルテ大統領は、トランプ米大統領の経済政策を非難し、「誰が始めたのだ? 米国だ。...
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同国の8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、アナリストらの大方の見通しを大きく上回る前年同月比6.4%となり、9年ぶりの高い水準となった。ドゥテルテ大統領の支持率は、依然として高い数字を維持しているが、食料品やサービス価格の上昇、通貨ペソの下落などは、野党の攻撃材料となっている。
インフレの加速について記者団から質問されると、ドゥテルテ大統領は、トランプ米大統領の経済政策を非難し、「誰が始めたのだ? 米国だ。米国が利上げをしたら、他の国も皆利上げをした。そういうわけだ。我が国ができることは何もない。」と答え、「米国が、トランプ氏がそれを欲したからだ。」と述べた。
ドゥテルテ大統領は、以前自身が経済に精通していないことを認めており、米国の経済政策が自国の物価上昇にどう影響しているのかについては、詳しく語らなかった。これについては、イランへの制裁再開による原油価格の上昇を指すとみる関係者もいる。
ドゥテルテ氏は、オバマ政権時代の米国を厳しく批判していたが、2016年11月の米大統領選でトランプ氏が当選を果たして以来、同氏と友好的な関係を築いており、今回の発言で示した姿勢は予想外のものだった。国内からは、トランプ氏を責めるより、自国の税制改革法など、経済的弱者が保護されない政策を改めるべきであると批判されている。
ドゥテルテ大統領は後に、ポピュリスト的な仲間であるトランプ氏に対しては、怒りを抱いているわけではないと釈明し、「友人のトランプ氏に話してみる。」「私は米国民に対し、全く反感は抱いていないし、トランプ氏に対する微塵の懸念もない。」と続けた。
2016年半ばに大統領に就任したドゥテルテ氏は、以前米国の当局者らから、その過酷な麻薬撲滅戦争について批判された。フィリピン政権は、これにより少なくとも4,410人の容疑者が殺害されたことを認めたが、人権保護団体は、実際の死亡者はその3倍に達すると主張している。しかし、トランプ氏はそうした懸念について一蹴し、ドゥテルテ大統領との関係が非常に良好であることを評価している。
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