ドイツの保険会社「R+V Versicherung」は6日、2018年のドイツ人の恐怖に関する世論調査の結果を発表した。これによると、回答者が挙げた年間最大の恐怖は、トランプ米大統領の政策への懸念であり、難民やテロなどに対する懸念を上回った。
同世論調査によると、トランプ大統領が、イランの核合意や気候変動に関するパリ協定からの離脱や、貿易や安全保障問題で示すドイツ人に対する敵対心など、その政策によって世界をより危険な場所にしていると懸念している人が、69%に上ることが判明した。
大量の難民や移民の流入と、その結果、既存の移民グループとの緊張などの新たなリスクが生じていることを最大の恐怖とした人は63%で、難民・移民に対する懸念は昨年の57%から増加している。...
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同世論調査によると、トランプ大統領が、イランの核合意や気候変動に関するパリ協定からの離脱や、貿易や安全保障問題で示すドイツ人に対する敵対心など、その政策によって世界をより危険な場所にしていると懸念している人が、69%に上ることが判明した。
大量の難民や移民の流入と、その結果、既存の移民グループとの緊張などの新たなリスクが生じていることを最大の恐怖とした人は63%で、難民・移民に対する懸念は昨年の57%から増加している。政治家の能力の欠如を挙げた人は60%だった。テロを最上位に挙げた人は59%にとどまり、昨年の71%から大きく減少している。過去2年間の最上位はテロの問題で、それ以前の5年間はユーロ危機だった。
他の懸念点としては、57%が政治や宗教の過激主義への恐怖心を示し、56%が気候変動に伴う自然災害を挙げている。環境問題、ユーロ圏諸国の負債への懸念、高齢化対策なども上位に挙げられた。自然災害や食の安全など、例年多くの人が挙げる問題がそれほど上位に登場せず、非常に政治的な要素が順位に表れたのが今年の特徴であるという。
R+Vに対し調査に関する助言を行った独ハイデルベルク大学の政治学者、マンフレート・シュミット教授は、「トランプ大統領の容赦ない『米国第一主義』、国際的な合意事項への反感、同盟国に対するものも含む攻撃的な貿易・安全保障政策は、大多数の国民の恐怖心をあおるものだ。」と指摘した。
シュミット氏は、ドイツの対米貿易黒字額や防衛費の負担額について、トランプ大統領がメルケル政権に攻撃的な発言を繰り返していることに言及し、「トランプ氏のドイツに対する攻撃は、心情面に大きな影響をもたらしている。」と説明している。
本調査はR+Vによって30年近くにわたり毎年実施されており、今年は6~7月に約2,400人のドイツ人を対象に行われた。これは、8月末に東部の都市ケムニッツでのドイツ人の刺殺事件で2人の移民が容疑者として拘束され、移民反対を訴える極右活動家によるデモが行われる前の時期となる。
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