トランプ米大統領による報道への批判に対抗するキャンペーンを先導し、トランプにも名指して批判されていた米「ボストン・グローブ」紙の従業員らを脅迫したとして、カリフォルニア在住の男がFBI(アメリカ連邦捜査局)により逮捕された。大統領がメディアを“国民の敵”だと連呼することで、報道機関や記者を危険に晒す結果となっている。
8月30日付米国
『CNBC』は「トランプ批判の論説で、ボストン・グローブを脅した男をFBIが逮捕」との見出しで以下のように報道している。
司法省の発表によると、トランプのメディア批判への抗議を主導したボストン・グローブ紙の従業員らを脅した男が木曜逮捕された。木曜午後ロサンゼルス連邦裁判所の法廷に立つ。カリフォルニア在住の68歳の男(Robert Chain)は、同社に10数件の電話をし、同社記者の殺害を予告、同紙を”国民の敵“と言ったという。...
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8月30日付米国
『CNBC』は「トランプ批判の論説で、ボストン・グローブを脅した男をFBIが逮捕」との見出しで以下のように報道している。
司法省の発表によると、トランプのメディア批判への抗議を主導したボストン・グローブ紙の従業員らを脅した男が木曜逮捕された。木曜午後ロサンゼルス連邦裁判所の法廷に立つ。カリフォルニア在住の68歳の男(Robert Chain)は、同社に10数件の電話をし、同社記者の殺害を予告、同紙を”国民の敵“と言ったという。
脅迫はグローブ紙が全米の新聞社にトランプの攻撃から報道の自由を守る論説掲載を呼びかけた今月10日に始まった。16日には300紙以上で論説文が掲載されたが、その日、男は従業員の頭を襲撃すると電話で脅迫し「なぜロバート・モラー特別検察官に電話しないのか、彼が助けてくれるだろう」等と言ったという。
トランプは、記者らを政治集会で攻撃し、記者への怒りを掻き立てており、ニューヨークタイムズ、CNN、ワシントンポストのオーナーであるジェフベソス氏を激しく批判している。ここ最近のツイッターでも“国民の敵”というフレーズを多用している。
トランプ指名のマサチューセッツ州司法長官Andrew Lellingは、「政党に関わらず命を危険にする者は訴追されるべき。政治の二極化が進み、大量殺人が横行する現代において、公職に付くものには、自身の政治レトリックに責任を持つべきであり、我々もまた同様である。」と述べている。
同日付英国『インディペンデント』は以下のように報道している。
メディアは“国民の敵”だと繰り返すトランプへの抗議を主導したボストン・グローブ紙を脅した男が逮捕された。トランプはグローブ社を名指しで批判してきた。
カリフォルニア在住のチェーン氏は1週間に12回記者を脅す電話をかけ、「頭に銃をぶっ放すぞ、全員殺す」等と脅迫していたという。トランプが繰り返し提唱する“国民の敵”という言葉をまねして使っていたという。脅迫電話があった後、同社は民間警護会社やボストン警察に助けを求めた。
今回の脅迫事件は、6月のアナポリスのキャピタルガゼット襲撃やトランプの度重なるメディア攻撃に続くものだった。
CNN記者がホワイトハウスの記者会見場から締め出しを受けたように、通常は報道から一歩と引いた立場にいる記者たちが、トランプの影響で被害を受けている。キャピタルガゼット襲撃がトランプに感化された結果かどうかは不明だが、事件があれば”深刻な事件だ“といいながらすぐにメディア批判に戻ってしまう同氏は、国の統制をはかる大統領としての資質が問われている。
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