国連が13日に公表した報告書によれば、イラクとシリアのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は、掃討作戦が進展し、外国人戦闘員の加入の流れが止まっているにも関わらず、今なお2~3万人の戦闘員が両国に残っていることが判明した。
国連の制裁履行監視チームは、安全保障理事会に宛てて、ISとアルカイダの活動状況に関する報告書を6カ月毎に提出している。今回の報告書によると、先ずリビアを拠点に活動するIS戦闘員が3,000~4,000人いると推定されるが、主要工作員らの一部がアフガニスタンに移動していると思われるという。
イラクとシリアのIS戦闘員については、今なお合計2~3万人が残留しており、両国にほぼ同数が存在すること、そしてその中には、なお重要な構成員として活動中の外国人テロリスト戦闘員が多く含まれていることが記されている。...
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国連の制裁履行監視チームは、安全保障理事会に宛てて、ISとアルカイダの活動状況に関する報告書を6カ月毎に提出している。今回の報告書によると、先ずリビアを拠点に活動するIS戦闘員が3,000~4,000人いると推定されるが、主要工作員らの一部がアフガニスタンに移動していると思われるという。
イラクとシリアのIS戦闘員については、今なお合計2~3万人が残留しており、両国にほぼ同数が存在すること、そしてその中には、なお重要な構成員として活動中の外国人テロリスト戦闘員が多く含まれていることが記されている。
ISは一時期、イラクとシリアで広大な地域を支配していたが、昨年、その2大拠点であったイラクのモスルとシリアのラッカを奪還され、2018年1月までにシリアのごく狭い地域に封じ込められた。資金も枯渇しており、シリア北東部の油田の売り上げの一部が引き続きISに流れているが、保有資金の合計額は数億ドルにとどまると見られている。
しかし、今回の報告書では、ISはシリア東部で大きな回復力を示しており、依然としてシリア領内では攻撃をしかける能力があり、イラクでは完全に支配している地域はないが、砂漠などに潜伏する工作員を通じ、活発な動きを継続していることが明らかになった。
ISに加入する外国人戦闘員の流入は実質止まっている。しかしISから去る戦闘員の数は予想より少なく、同組織の外には活動の場が余りないようだ。但し、かなりの数の外国人戦闘員がアフガニスタンに移り、現在同国にいるIS戦闘員は3,500~4,500人と見積もられており、なお増加していると報告書は述べている。
報告書はさらに、関連組織を含めたアルカイダの世界的なネットワークも引き続き回復力を示していると説明している。国や地域によってはISよりも遥かに強大な力を持つとして、ソマリア、イエメン、南アジア、アフリカ・サハラ砂漠南縁部に広がるサヘル地域などの例を挙げた。
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