既報どおり、北朝鮮は、南北朝鮮首脳会談、中朝首脳会談、そして米朝首脳会談を立て続けに持ち、“朝鮮半島の非核化”をタネに交渉を有利に進めようと、それぞれの関係国間のパワー・バランス等をうまく活用している。一方、日本に対しては、解決済みの拉致問題で北朝鮮を責め続けていて、北朝鮮の関係国との交渉を妨げる存在として、敵視する態度を取っている。これは、日本との平和条約締結や戦後賠償請求交渉を有利に運ぶための北朝鮮の常套手段だとみられるが、その交渉カードを増やすためか、新たに日本人を拉致したとの速報が入っている。
8月11日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「北朝鮮が日本人旅行者を拘束したと発表して、日朝間国交正常化交渉は複雑化」
『共同通信』は8月11日、北朝鮮が、同国を訪問中の日本人旅行者をスパイ容疑で拘束したと報じた。
30代の日本人男性は、海外の旅行会社手配で訪朝していたが、同国西部の南浦(ナムポ)において、複数の軍事施設を動画撮影したために拘束されたという。
複数の日本のテレビ局は、拘束された男性は“映像制作者”と称していて、これまで北朝鮮を複数回訪問していると報じている。...
全部読む
8月11日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「北朝鮮が日本人旅行者を拘束したと発表して、日朝間国交正常化交渉は複雑化」
『共同通信』は8月11日、北朝鮮が、同国を訪問中の日本人旅行者をスパイ容疑で拘束したと報じた。
30代の日本人男性は、海外の旅行会社手配で訪朝していたが、同国西部の南浦(ナムポ)において、複数の軍事施設を動画撮影したために拘束されたという。
複数の日本のテレビ局は、拘束された男性は“映像制作者”と称していて、これまで北朝鮮を複数回訪問していると報じている。
なお、『共同通信』は、政府高官の話として、北朝鮮は、今後日朝間で進められる国交正常化交渉で、拘束された男性の解放を切り札として利用する可能性があると伝えている。
8月12日付台湾『台北タイムズ』紙(『AFP通信』配信):「日本人がスパイ容疑で北朝鮮当局に拘束」
『朝日新聞』の報道では、当該日本人男性が、いつ、そして何故北朝鮮当局に拘束されたか不明だというが、政府関係者の情報として、スパイ容疑だと言われているとする。
同紙によれば、外交筋の話として、日本政府としては、当該男性の安全確保を第一優先に北朝鮮と交渉していくとするが、今後日朝間で行われる国交正常化交渉で切り札に使われる可能性があるとみられているという。
日本政府はこれまで国民に対して、国連のみならず日本独自の制裁の対象となっている北朝鮮への旅行等を慎むよう求めてきていた。
北朝鮮は、1970~1980年代に、日本人等を拉致して同国のスパイ活動に利用しようとしてきた。
一方、北朝鮮は1999年に、ある日本の新聞社の記者をスパイ容疑で逮捕し、2年間拘束している。
なお、安倍晋三首相は8月6日、自身が金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談し、核、ミサイル、日本人拉致被害者問題等あらゆる懸案事項について、解決に向けて尽力していく旨改めて表明している。
日本メディアの推測では、来月ウラジオストック(ロシア)で開催される国際フォーラム(編注;9月11~13日、ロシア主催で開催される“東方経済フォーラム”)の機会を捉えて、両国首脳会談が行われるのではないかとみている。
閉じる