調査会社ユーガブ(YouGov)が、英日曜紙サンデー・タイムズのために、7月19・20日に実施した世論調査によると、テリーザ・メイ首相の欧州連合(EU)離脱方針に大半の英国民が反対し、3分の1以上の有権者が、離脱にコミットする新たな右派政党を支持すると回答した。
今回のユーガブによる調査は、英国の成人1,668人を対象に行われた。これにより、メイ氏の政治的な脆弱さも明らかとなり、EUと交渉し、次期選挙で保守党を率いるのにふさわしい政治家として、首相より、2週間前に外相を辞任したボリス・ジョンソン氏が適するとした人の方が多かった。メイ氏の離脱交渉を評価する人は、わずか16%だったのに対し、34%の人が、ジョンソン氏の方が、もっと交渉をうまく進められると回答している。...
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今回のユーガブによる調査は、英国の成人1,668人を対象に行われた。これにより、メイ氏の政治的な脆弱さも明らかとなり、EUと交渉し、次期選挙で保守党を率いるのにふさわしい政治家として、首相より、2週間前に外相を辞任したボリス・ジョンソン氏が適するとした人の方が多かった。メイ氏の離脱交渉を評価する人は、わずか16%だったのに対し、34%の人が、ジョンソン氏の方が、もっと交渉をうまく進められると回答している。
英国がEUを離脱する2019年3月29日まで、あと8カ月余りとなったが、メイ政権や議会ばかりでなく、一般の国民や企業についても、どのような離脱形態を取るべきかをめぐって、深い分断が存在する。
メイ首相は、EUとの緊密なモノの貿易関係を維持する離脱案を提示したが、この結果、政権は今月危機に追い込まれた。ジョンソン氏ら2人の重鎮の閣僚が、抗議の辞任をすると、メイ氏自身も不信任を突きつけられるとの憶測が飛んだ。
企業の間には、政府の提案した離脱案は現実的と評価する声もあるが、今回の調査によれば、もし2度目の国民投票が実施された場合、政府案を支持すると答えた有権者はわずか10人に1人だった。約半数の人が、英国にとってそれは良くないと回答している。また、国民投票が再び実施されれば、EU残留を支持するとした有権者も約半数に上った。
英国の有権者はますます分極化しており、保守党・労働党の2大政党離れも起きている。38%がEU離脱にコミットした新たな右派政党に投票すると回答しており、ほぼ4分の1の24%の人が、反移民、反イスラムの極右政党を支持すると答えた。
サンデー・タイムズ紙によれば、EU離脱派で英独立党の元党首ナイジェル・ファラージ氏と、トランプ米政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏が、新たな右派運動の結成について協議をしているという。
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