コンピュータ画像や人工知能の発達により、監視カメラや顔認識技術が社会に浸透してきた。怪しいしぐさを読み取れるなど犯罪防止の目的なら良いが、表情の認識技術は100%ではない点から、偏見や誤解に繋がるなどその活用の仕方やプライバシーをどう守るかも今後の課題である。
7月16日付英国
『BBC』は「あなたが楽しそうか怖がっているか認識するカメラ」との見出しで以下のように報道している。
コンピュータ画像や人工知能の発達に伴いここ十数年、顔認識機能が発達したが、プライバシーや個人の自由はまもられるのか。
顔認識技術は国境管理やスマートフォンのロック解除、犯罪者の割り出し、銀行送金の認証などに使用されている。しかしIT企業は表情も読み取れることに懸念を示している。...
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7月16日付英国
『BBC』は「あなたが楽しそうか怖がっているか認識するカメラ」との見出しで以下のように報道している。
コンピュータ画像や人工知能の発達に伴いここ十数年、顔認識機能が発達したが、プライバシーや個人の自由はまもられるのか。
顔認識技術は国境管理やスマートフォンのロック解除、犯罪者の割り出し、銀行送金の認証などに使用されている。しかしIT企業は表情も読み取れることに懸念を示している。1970年代から、心理学では写真やビデオに写される顔の細かい表情からも隠れた心理が読み取れるとされてきた。金融機関のビデオ監視専門家は、「商業分野では既にこれが応用されており、スーパーの通路には個人を認識はしないが、年齢や性別などの基本情報を分析し、マーケティングや商品陳列に役立てている。」という。また心理学はテレビCMへの消費者の反応の分析にも使われている。
英国企業は、素人には難しい、顔の表情から不審人物を認識するためにAI技術を活用。人が話しているとき、話の内容とは裏腹の猜疑心や怒りの感情も顔から読み取るのだという。企業は司法当局にも尋問者の分析で協力しており、画質の良くないビデオを使っても、人物の表情、姿勢、しぐさ、から感情、意図を読み取れるのだという。将来は駅のプラットフォームやイベント会場でこの技術を使い、テロ犯とみられる不審者を発見し当局に通報するシステムも出来るという。
しかし表情読み取りの技術に懸念もあるのだという。表情を読み取るだけの場合には、エラーが起きる場合もまだあり、最高技術を持つ企業でも90~92%の精度だという。感情を読み取る場合は、エラーがより大きく振れる。プライバシー擁護活動家が危惧するのは、顔認識技術が偏見や誤りに繋がる点である。
7月13日付日本『The Asahi Shimbun』は「社説:AI監視でのプライバシー:中国の過激な例で警鐘」との見出しで以下のように報道している。
町の至る所にセキュリティカメラが設置され、常にそこにいる人が記録されており、今日の社会ではそれが当たりまえのこととなった。監視技術は日進月歩、近年AIシステムを使った顔認識技術も世界中で普及している。
犯罪防止という名目により、個々人はどれほどこの状況を認識しているだろうか。
人権やプライバシーの問題に疑問の声も上がるだろう。過剰な中国のケースでは、いくつかの都市でパトロールの警察官が顔認識システム搭載のサングラスをかけ始めた。この対策は警察官がイベント会場などで指名手配犯を割り出すのに使われている。試験的に高速鉄道の改札や大学のゲートなどで、IDの代わりとして顔認証も使われている。
しかし問題となるのは、誰がどのように何の目的で、そのようなシステムを管理するかだ。中国ではウイグル自治区で当局が特定の人を監視の目的で使用されるなど、技術を通例にない使い方をしている例もあるなど、信条、人種、宗教により監視システムが政府批判を抑え込むために使われるべきではない。
日本は、基本的な自由が保障された国だが、企業側では、ネットや携帯、防犯カメラなどから大量の個人情報を集めている。スノーデンによる漏えいから、米国の情報機関が世界的に盗聴網を張り巡らせている現実も明らかになり、これは中国だけの問題ではないのである。
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