国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済見通しを発表し、貿易摩擦の激化について懸念を示す一方で、世界経済全体の成長率については、2018、19年とも3.9%と、前回4月時の予測を据え置いた。日本の18年の成長率は、1~3月期のマイナス成長を勘案し、前回予測から0.2ポイント引き下げて1.0%とし、19年については0.9%を維持した。
IMFは、トランプ米政権の追加関税導入に端を発した貿易摩擦による緊張の持続的な高まりが、景気の回復を阻み、中期的な成長見通しの下振れに繋がりかねないと警告している。中国や欧州などとの報復合戦が続くことになれば、2020年までに世界全体の国内総生産(GDP)を0.5%ほど押し下げるとの試算も示された。
IMFの主任エコノミストであるモーリー・オブストフェルド氏は記者会見で、「現在の貿易摩擦をめぐる緊張がさらに高まり、企業や消費者の心理、資産価格、投資などに悪影響が出れば、世界経済の成長にとって最大の短期的リスクとなる。...
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IMFは、トランプ米政権の追加関税導入に端を発した貿易摩擦による緊張の持続的な高まりが、景気の回復を阻み、中期的な成長見通しの下振れに繋がりかねないと警告している。中国や欧州などとの報復合戦が続くことになれば、2020年までに世界全体の国内総生産(GDP)を0.5%ほど押し下げるとの試算も示された。
IMFの主任エコノミストであるモーリー・オブストフェルド氏は記者会見で、「現在の貿易摩擦をめぐる緊張がさらに高まり、企業や消費者の心理、資産価格、投資などに悪影響が出れば、世界経済の成長にとって最大の短期的リスクとなる。」と指摘している。
IMFは今回、世界全体の経済成長率の見通しについては、18年、19年とも3.9%と、前回の4月時の予測を維持した。オブストフェルド氏は、これらについては、現在実施されている各国の関税などの措置だけを考慮に入れたものであると念押しした上で、それでも成長の勢いは鈍化してきていると説明した。
各国別には、先ず米国と中国の経済成長の見通しについて、いずれも据え置いた。米国は、18年に2.9%、19年に2.7%と堅調な成長を見込み、中国は18年が6.6%、19年が6.4%と見込んでいる。
一方、第1四半期の実績を踏まえ、18年のユーロ圏19カ国の見通しは、独仏の景気が軟調なことやイタリアの政治不安により2.4%から2.2%に、英国は1.6%から1.4%にそれぞれ下方修正した、日本は第1四半期、個人消費や投資が振るわなかったことから、18年は1.2%から1.0%に引き下げたが、19年については0.9%を維持した。
IMFは新興国の一部につき、18年の成長率見通しを引き下げた。ブラジルは労働争議や政治不安などの影響により、0.5ポイント下げて1.8%とした。インドは原油価格の高騰や、高インフレ率による金融引き締め策の早期導入により、0.1ポイント下げて7.5%とした。一方、サウジアラビアなどの産油国は、原油高の恩恵を受けるとして引き上げた。
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