米グーグルを傘下に持つ持株会社アルファベットは11日、風船を使用したインターネット接続サービス「ルーン(Loon)」と、ドローンの配送部門「ウィング(Wing)」の2つのプロジェクト部門を独立させ、アルファベット傘下の別会社とすることを発表した。
ルーンとウィングはこれまで、月ロケットの発射のように困難だが、実現すれば大きな革新を生む壮大な挑戦「ムーンショット」と称されるプロジェクトだった。ムーンショットは、アルファベットの研究部門「X」が管理しているが、今回両プロジェックトはXから卒業し、分社化される。独立した法人となるため、それぞれの最高経営責任者(CEO)が採用、任命された。
アルファベットはこれまでも同様の方法で、幾つかのプロジェクトをXから卒業させ、別会社化してきた。...
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ルーンとウィングはこれまで、月ロケットの発射のように困難だが、実現すれば大きな革新を生む壮大な挑戦「ムーンショット」と称されるプロジェクトだった。ムーンショットは、アルファベットの研究部門「X」が管理しているが、今回両プロジェックトはXから卒業し、分社化される。独立した法人となるため、それぞれの最高経営責任者(CEO)が採用、任命された。
アルファベットはこれまでも同様の方法で、幾つかのプロジェクトをXから卒業させ、別会社化してきた。サイバーセキュリティの「クロニクル(Chronicle)」、自動運転技術開発の「ウェイモ(Waymo)」、生命科学の「ベリリー(Verily)」などがその例である。
ルーンは今後とも、世界中の通信会社と連携して、インターネット環境が十分に整っていない地域にサービスを提供していく事業を展開し、ウィングも同様に、無人航空機による航空管制システムの開発と配送ネットワークを構築する事業を継続する。
ルーンのプロジェクトが開始した2013年頃には、風船を基地局としたネットワークによるインターネット環境の提供は、現実的でない話と考えられていたが、昨年ハリケーン・マリアがプエルトリコに襲来した際に、成層圏から被災地の10万人以上の住民にネット接続を提供するなど、災害時の貢献などを通じて、アルファベットはその実現可能性と有用性を確実に証明してきている。
ウィングも興味深いプロジェクトであり、ドローンで地方在住者に必要な薬を送ったり、大学生にファーストフードを配達したりするなどの配送業務に加え、米連邦航空局(FAA)と共同で行う、ドローンが飛ぶ低空の航空管制に関する業務などを行っている。
Xのムーショットの責任者であるアストロ・テラー氏は、「プロジェクトの基礎的な技術が構築できたので、ルーンとウィングは世界にその成果を展開する用意ができた。」と述べ、両プロジェクトがXの実験的な環境を脱し、実社会で事業を遂行する条件が整ったと説明した。
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