メイ英首相は10日、欧州連合(EU)からの強硬な離脱を主張していた2人の閣僚が、前日までに相次いで辞任したことについて発言し、今後とも自身の提示した離脱交渉方針を維持していく考えを明らかにした。
メイ内閣では、8日夜にデービスEU離脱担当相が辞任したが、9日の午後になって、ジョンソン外相も辞任し、大きな混乱に陥った。両閣僚はともにメイ首相の交渉姿勢を厳しく批判していた。
ロンドンで行われた西バルカン諸国への支援などに関する欧州諸国首脳との会合後、メイ首相は記者会見で、緊密な関係の継続を要求するEUからの圧力に屈服したとの批判に反論した。首相は自身のEU離脱方針は、「国民投票の約束を完全に守っている。...
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メイ内閣では、8日夜にデービスEU離脱担当相が辞任したが、9日の午後になって、ジョンソン外相も辞任し、大きな混乱に陥った。両閣僚はともにメイ首相の交渉姿勢を厳しく批判していた。
ロンドンで行われた西バルカン諸国への支援などに関する欧州諸国首脳との会合後、メイ首相は記者会見で、緊密な関係の継続を要求するEUからの圧力に屈服したとの批判に反論した。首相は自身のEU離脱方針は、「国民投票の約束を完全に守っている。」として、「我々は円滑で秩序ある離脱となるように進める。」と説明した。
英国のEU離脱まで9カ月を切り、メイ首相は、保守党内の強硬派を抑え、EUに「モノの自由貿易圏」の創設を求めるなど、企業寄りの交渉方針を打ち出している。首相は10日朝、今週中にも離脱に関する政策全般をまとめた白書を公表するのに先立ち、ハント新外相、ラーブ新EU離脱担当相が就任した改造内閣で、生産的な閣議ができたとツイートした。
メイ首相とともに記者会見に臨んだドイツのメルケル首相は、メイ首相の交渉方針の提案に対しては、他の27のEU加盟国全体で回答するとしたが、「提案が交渉のテーブルに載せられたことは良いことだ。」と評価している。
トランプ米大統領は、今週の自らの英国訪問について、英政権が「混乱」の時期に行われるとコメントしたが、メイ首相は後にこれは当たらないとして退けた。しかし、閣外大臣や副大臣などの政府関係者の辞任も続いており、さらに辞任ドミノが起きるとの報道もあって、政権内の混乱した状況が完全に収まったとは言えない。
一方、2016年の国民投票前にEUからの離脱を強硬に主張していたゴーブ環境相は、メイ首相を支持し、辞任はしないと明言した。ゴーク司法省はBBCラジオに対し、「内閣は首相を支持し、意見を1つにまとめないといけない。もしそれができないなら、閣外に去るべきだ。」との見解を示した。
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