米電気自動車(EV)メーカーのテスラは10日、生産能力を劇的に向上させるため、上海にEVやバッテリーを製造する新工場を建設する計画を発表した。米中の貿易摩擦が激化する中、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社最大の海外進出を決断した。
テスラは先月、上海での工場建設計画について株主らに明かしていた。今回同社が上海市当局と共同で発表した声明によると、商業地域である浦東新区の臨港地区に、自社100%所有の工場を建設する内容の仮契約に署名したという。市当局は、テスラの製造、研究・開発、販売などを統合したプロジェクトに対し、最大限の支援をしていくとしている。
テスラの広報担当者は、工事は認可手続などが完了次第開始し、車の生産を開始するまでに約2年、最大の生産体制となるまでにさらに3年を要すると説明した。...
全部読む
テスラは先月、上海での工場建設計画について株主らに明かしていた。今回同社が上海市当局と共同で発表した声明によると、商業地域である浦東新区の臨港地区に、自社100%所有の工場を建設する内容の仮契約に署名したという。市当局は、テスラの製造、研究・開発、販売などを統合したプロジェクトに対し、最大限の支援をしていくとしている。
テスラの広報担当者は、工事は認可手続などが完了次第開始し、車の生産を開始するまでに約2年、最大の生産体制となるまでにさらに3年を要すると説明した。中国市場で量産を目指すが、米国での製造事業は引き続き成長が見込まれ、新工場の影響はないという。
マスクCEOは、同工場の建設計画は1年前から準備してきたが、最終的に年間生産台数が50万台にまで達する大型プロジェクトであるとして、早期完成への期待感を示した。同CEOは、「上海は、米国外で初の巨大工場がある場所となる。最先端の自動車工場となり、持続可能性の役割モデルになるだろう。」と述べた。
トランプ米大統領は、製造業を米国内に維持するよう圧力をかけており、世界市場への進出を見据えるテスラも、激化する貿易摩擦の脅威に直面する。米国の中国に対するモノの貿易赤字額は、昨年記録的な3,752億ドル(約41兆6,000億円)に膨らんだが、トランプ氏は、中国が米国製品に対し不公正な取り扱いをしているとして、批判を強めている。
米国は6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税として、自動車、コンピューターのハード・ドライブ、LEDなどを含む、機械類、電子部品、産業用ロボットなどのハイテク製品約340億ドル(約3兆8,000億円)相当の輸入品を対象に、25%の追加関税をかけることとした。中国は即座に反応し、同様の報復関税を課すこととしたが、これにより中国に輸出されるテスラ車の価格も大きく引き上げられた。
中国は世界最大の自動車市場であり、最大のEV市場だ。中国政府が、慢性的な大気汚染対策としてクリーンエネルギー導入を進めていることもあり、EV市場はさらに急速に成長することが期待されており、国内外の自動車メーカーが競って進出しようとしている。
閉じる