昨年11月、つくばエクスプレスがホームページで、同社が運行する電車が、定刻より20秒早く出発してしまったことに対して謝罪文を掲載した。このニュースに、欧米メディアが挙って驚き呆れていた。そして今度は、神戸市が、弁当を買うために昼食時間直前に3分間中抜けしていたことで減給処分にしたこと、更に、同市の担当責任者が公式謝罪したことに驚いている。日本は何故ここまで厳格、あるいは不寛容なのかという点に加えて、一方で、安倍政権は、年収が高い一部の専門職を労働時間の規制から外す、経営側に寛容な「働き方改革関連法案」を成立させようとしていると米メディアが報じている。
6月22日付
『CNNニュース』:「日本の公務員、弁当を買うため3分中抜けしていたことから減給処分」
神戸市は今月半ば、昨年9月から今年3月までの半年間で、合計26回も弁当を買うために勤務時間中に3分間中抜けしていたとして、64歳の水道局職員を半日の減給処分とした。
更に、同市水道局の4人の責任者が公式記者会見で、かかる事態が起こったことは遺憾だとして陳謝した。
これに対して、ソーシャルメディアでは、罰が厳しすぎるとか、お茶も喫煙も、また雑談も許されないのか、という批判的コメントが遣り取りされている。...
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6月22日付
『CNNニュース』:「日本の公務員、弁当を買うため3分中抜けしていたことから減給処分」
神戸市は今月半ば、昨年9月から今年3月までの半年間で、合計26回も弁当を買うために勤務時間中に3分間中抜けしていたとして、64歳の水道局職員を半日の減給処分とした。
更に、同市水道局の4人の責任者が公式記者会見で、かかる事態が起こったことは遺憾だとして陳謝した。
これに対して、ソーシャルメディアでは、罰が厳しすぎるとか、お茶も喫煙も、また雑談も許されないのか、という批判的コメントが遣り取りされている。
しかし、同市水道局総務課の岡課長は当ニュースのインタビューに答えて、この懲戒処分はやり過ぎとの声があるのも事実ながら、地方公務員として全体に奉仕する義務が課せられている以上、その義務に背くような行為は許されないとコメントした。
一方、日本においては目下、働き方の見直しを求める動きが出ている。
これは、2015年末に、電通の24歳の新人女性社員が自殺したが、これが“過労死”と認定されたことに端を発している。
自殺した高橋まつりさんは、直近の月の残業時間が105時間にもなっていたという。
“過労死”という言葉は、1970年代から使われ始め、1980年代になって労働問題活動家が改善を求める運動を始めた。
この運動が実を結び、2014年になって漸く“過労死”を防ぐ改正法が成立したが、専門家によると、罰則規定もなく実際にはどの企業にも実行されなかったという。
そして現在、安倍政権は、働き方改革関連法の成立に注力しているが、同法案には、一部の専門職を労働時間の規制から外す条項が含まれており、物議を醸している。
6月23日付『Foxニュース』:「日本の地方公務員、昼食時間開始の3分前から勤務離脱で減給処分」
神戸市水道局の幹部4人は、半年間で26回も昼食時間開始の3分前から職場を離れた職員がいたことについて、テレビ局も集まった記者会見の席上で、同職員を半日の減給処分にしたと説明した後で、かかる事態を長く見逃していたことを陳謝した。
このために同職員が勤務を疎かにした時間は78分になる。
そこで、日本の中でも、懲戒処分はやり過ぎだという声に加えて、市の幹部が揃って頭を下げたことや、そもそも同幹部らが陳謝する時間の方が無駄となっているとの批判が出ている。
なお、同水道局広報担当の岡氏は『CNNニュース』の取材に対して、懲戒処分は遣り過ぎだとの声があることに触れて、今後どうすべきか再度検討したいとしながらも、地方公務員として勤務時間中はしっかり勤務しなければならない義務があると強調した。
(参考)地方公務員法30条(服務の根本基準):すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
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