習近平(シー・チンピン)国家主席は、昨年10月に開催された第19回中国共産党大会(5年に一度の全国の共産党員代表を集めた大会)において、自身が説く“新時代の中国の特色ある社会主義に関する思想”が「習近平思想」として、党規約(憲法に相当)に盛り込まれることが承認され、毛沢東(マオ・ツォートン)以来の権威を得た。それ以降、中国各地の大学が、同思想を挙って教育や研究に取り入れてきている。そして、今年3月の全国人民代表大会(国会に相当)において、習氏の国家主席の任期が無期限となり、毛沢東や鄧小平(トン・シャオピン)と同等、あるいはそれ以上の大きな権力を獲得したことから、各大学にとっては、習氏に対する“忠誠競争”に益々拍車がかかることになっているとみられる。
6月22日付
『ロイター通信米国版』:「中国の各大学が“習思想”を学生に啓蒙」
中国各地の大学は現在、ネット通信講座や研究センターを駆使して、習近平国家主席が説いた「習思想」を中国全土、そして更には世界に広めるべく先陣を切っている。
昨年10月の中国共産党大会で、「習思想」が党規約に盛り込まれることが承認されて以降、各大学は挙って、同思想を主要カリキュラムに採用し始めているが、それは毛沢東時代以来初めての事態である。...
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6月22日付
『ロイター通信米国版』:「中国の各大学が“習思想”を学生に啓蒙」
中国各地の大学は現在、ネット通信講座や研究センターを駆使して、習近平国家主席が説いた「習思想」を中国全土、そして更には世界に広めるべく先陣を切っている。
昨年10月の中国共産党大会で、「習思想」が党規約に盛り込まれることが承認されて以降、各大学は挙って、同思想を主要カリキュラムに採用し始めているが、それは毛沢東時代以来初めての事態である。
習思想とは、これまでに習国家主席が公に説いてきた近代的社会主義思想であり、厳格な法支配の下、2050年までに経済・軍事大国になることを目標としているものである。
党を支える思想教育を重視する中国では、毛沢東思想や鄧小平理論が大学の必修科目となっているが、習思想もそれに加えられ、各大学では学生の啓蒙に注力している。
中国一流大学のひとつである北京の清華(チンホァ)大学で、経済学の教鞭をとる胡鞍山(フー・アンシャン)教授は、“中国例外主義(中国の歴史・政治制度等の優越性を唱える概念)”を標榜する権威であるが、真に強いリーダー及びその思想を得て、ついに中国が米国と肩を並べる大国となる時が来たと表明している。
また、中国政治専門家らは、習国家主席への堅固な忠誠心はさておき、大学教育による習思想の研究を通じて、中国共産党の信条が再び中国全土に普遍的に広まっていくだろうとコメントした。
ただ、北京在の某大学の経済学部学生のひとりは、習思想研究センターで学んでいるが、同思想は政治的スローガンや目標であって、依然具体的に国民の生活に直結してくるものではないと考えているとコメントしている。
なお、昨年10月以来、中国各地の大学では少なくとも30の習思想研究センターが発足している。
また、中国で最も権威のある国家社会科学基金は6月、2018年の研究資金支援先として、習氏の名前が入った90の研究プロジェクト、“新時代”の題名が付いた240のプロジェクト等をその対象に選出したと発表した。
更に、北京社会科学協会は、北京習思想研究センターに2018年の研究予算として1,600万人民元(250万ドル、約2億7,500万円)を割り当てている。
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