ニッキー・ヘイリー米国連大使は、1年前に国連ジュネーブ事務局で改革を呼びかけたが、無駄だったと述べた。ヘイリー氏は国務省の記者団に対し、「残念ながら、改革の要請は受け入れられなかった。人権理事会では人権侵害者が委員を務め、選出されている。」と発言した。さらに、「人権理事会はイスラエルへの偏見を抱えている。イスラエルを非難する決議が多い。あまりにも長い間、人権侵害者を擁護し、政治的偏見の温床であった。」と付け加えた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、米国の離脱について遺憾の意を表明した。ゼイド・ラアド・アル=フセイン国連人権高等弁務官は、「今日の世界の人権状況を考えると、米国は離脱するのではなく、さらなる取組み強化を行うべきだ」とツイートした。
ヘイリー大使は、米国は改革に向けて1年を費やしたが、理事会の欠陥は改善されなかったと主張した。たとえばコンゴ民主共和国の理事会入りは、理事会が改革を受け入れない証拠だと指摘した。また、理事会メンバーであるベネズエラや反対派のデモを弾圧したイランに対して、一回も会合を開かなかったことも挙げた。「ベネズエラやイランの大規模な人権侵害に対処せず、新しいメンバーにコンゴを迎え入れるのなら、理事会はその名にふさわしい価値がない。」とヘイリー大使は述べた。
トランプ政権はこの数カ月、理事会離脱の意思を表明していたが、米国自体がメキシコ国境で子どもを強制的に両親から分離する移民政策で強い批判を浴びるなか、今回の離脱発表が行われた。
2017年1月以降、米国はパリ協定、ユネスコ、イラン核合意から離脱している。主要貿易国に対して鉄鋼とアルミニウム関税を課し、エルサレムをイスラエルの首都に認定、イスラエル大使館を移動するなど論争の的になっている動きが多数ある。
人権擁護団体は、米国が人権を守るという世界的な義務から撤退したと非難した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのエグゼクティブ・ディレクター、ケネス・ロス氏は、「トランプ政権の離脱は表面的な人権政策を悲しくも反映している。イスラエルを批判から守ることが他のすべてよりも優先される。国連人権理事会は、北朝鮮、シリア、ミャンマー、南スーダンなどの国々で重要な役割を果たしたが、トランプ大統領が気にしているのはイスラエルを守ることのみである。」と述べた。
閉じる