世界保健機関(WHO)は18日に公表した国際疾病分類(ICD)の第11版で、ゲーム障害を新たな精神衛生疾患に分類し、ゲームが薬物やギャンブルと同様の依存症を引き起こす可能性があると記載した。
ICDは、疾病、傷害など約5万5,000種類の状況を定義しており、研究者らによる症状の研究や、開業医の病気などの診断、健康保険の提供会社や生損保会社が支払う給付金や保険金の算定などのための基準として、広く利用されている。
WHOの精神衛生・薬物乱用の専門部局が、今回ゲーム障害が新たな疾患として、世界中で治療の必要性やその需要があると、意思決定機関に提案した。WHOは、先例を作ったのではなく、一般社会や専門家の間で認められる最近の動向を踏まえたものとしている。...
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ICDは、疾病、傷害など約5万5,000種類の状況を定義しており、研究者らによる症状の研究や、開業医の病気などの診断、健康保険の提供会社や生損保会社が支払う給付金や保険金の算定などのための基準として、広く利用されている。
WHOの精神衛生・薬物乱用の専門部局が、今回ゲーム障害が新たな疾患として、世界中で治療の必要性やその需要があると、意思決定機関に提案した。WHOは、先例を作ったのではなく、一般社会や専門家の間で認められる最近の動向を踏まえたものとしている。
しかし、必ずしも全ての心理学者が、ゲーム障害をICDに含めるべきと考えているわけではなく、時期尚早との意見も根強く存在する。また、ゲーム障害を新たに疾病と指定したことにより、ゲーム好きな子供の親が過度の懸念を持つと警告する意見も出ており、ゲーム業界からは強い反発がある。WHOは、疾病と位置付けたことにより、医療の専門家や組織がそうした症状の存在にさらに注意を向けるなど議論が深まり、症状を持つ人が適切な支援を受けやすくなることが期待されると説明した。
ゲーム障害には3つの大きな特徴がある。その第一は、ゲームをすることが他の何事にも優先し、他の活動がないがしろにされること。二番目は、行動に抑制が効かなくなり、悪影響が出ても止められずにエスカレートすること。三番目は他人や家族などとの対人関係、仕事などの社会生活に重大な支障をきたし、睡眠障害や食生活、身体活動の問題にもつながることがあることである。
こうしたゲーム障害の主な症状は、全体的には薬物依存症やギャンブル依存症の症状に非常に似ている。そうした状態が少なくとも1年続けばゲーム障害と診断されるが、これは医学上の症状なので、適切に訓練された医療専門家が診断を行わなければならない。
世界には「ゲーマー」と呼ばれる愛好家が多くいるが、かなり集中してゲームをしたとしても、ゲーム障害に罹患する人は極めて少なく、多くとも3%程度とWHOや専門家は見積もっている。但し、兆候を早めに認識し、予防することが重要であるとも指摘した。
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