習近平(シー・チンピン)国家主席は、特に米国との覇権争いに勝利するためか、東・南シナ海のみならずインド太平洋での海洋覇権に精力を注いでいる。その一環で中国は、軍艦・潜水艦保有数で米国を凌駕したが、空母保有数では、米国の11隻に対して僅か1隻(それも旧ソ連製を改造したもの)であることから、純国産空母開発に注力している。そして5月中旬、建造の終わった中国初の国産空母を試験航行させ、いよいよ目標の2020年就役目指してラストスパートをかける段階まで進んだ。しかし、その矢先、同空母建造を請け負っていた国営造船会社幹部に汚職疑惑が発覚し、同空母就役に影響が出る恐れが出てきた。
6月17日付フランス
『AFP通信』:「中国の空母建造を請け負う造船会社幹部に汚職疑惑」
中国共産党中央規律検査委員会(CCDI)は6月16日晩、国営企業の中国船舶重工集団公司(CSIC、1999年7月創立の造船・舶用機器製造企業)のNo.2である孫博(スゥン・ボ、57歳)を“重大な規律違反(汚職の意)”容疑で取り調べることにしたと公表した。
CSICは、中国海軍が力を入れている純国産空母の建造を請け負っている。...
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6月17日付フランス
『AFP通信』:「中国の空母建造を請け負う造船会社幹部に汚職疑惑」
中国共産党中央規律検査委員会(CCDI)は6月16日晩、国営企業の中国船舶重工集団公司(CSIC、1999年7月創立の造船・舶用機器製造企業)のNo.2である孫博(スゥン・ボ、57歳)を“重大な規律違反(汚職の意)”容疑で取り調べることにしたと公表した。
CSICは、中国海軍が力を入れている純国産空母の建造を請け負っている。
同空母は、まだ正式名称はなく「001A型(001型は1隻目の空母”遼寧“)」と呼ばれているが、先月試験航行が行われ、2020年の就役が予定されている。
中国は、南シナ海における領有権問題や、台湾の独立の動きに力を以て対抗すべく、空母“遼寧”に続いて2隻目の空母建造に注力していた。
なお、目下のところ、CSIC幹部の汚職疑惑発覚が、純国産空母開発に影響を及ぼすことになるのか不詳である。
同日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「中国純国産空母の造船会社幹部が汚職容疑で拘束」
習国家主席はかねてより、世界で冠たる海軍を創り上げると大号令をかけており、その一環で中国初の純国産空母開発に注力してきた。
今回の汚職摘発は、その純国産空母建造を請け負っている造船会社で発覚してしまった。
CSICは、当該空母の他、原子力潜水艦や深海潜水調査艇の開発・建造も請け負っている。
CCDIが拘束した孫氏はCSICのNo.2で、CSIC傘下の大連船舶重工集団(造船所)会長も務めており、昨年4月末の当該純国産空母「001A型」の進水式にも出席していた。
なお、CSICでは2016年、同社グループ規律検査委員会委員長であった劉長虹(リウ・チャンホン、56歳)が、汚職容疑で摘発されている。
同日付中国『新華社通信』:「国営企業の幹部が汚職疑惑で捜査」
孫氏はCSICグループ社長であり、同グループのNo.2である。
孫氏を拘束したCCDIは6月16日、国家監査委員会(注後記)とともに取り調べを行っていると発表した。
(注)国家監査委員会:今年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で新たに組織された、中国国内の全公職者の監督・調査・処分等を行う機関。中国共産党員の汚職摘発を担っているCCDIより対象は広いが、両機関はほぼ一心同体の関係にある。
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